坂本冬美、「また君に恋してる」の人気ぶりに「戸惑いもある」と告白… 『紅白』で9回歌われてきた「夜桜お七」の誕生秘話も

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人気ランキング首位独走の「また君に恋してる」、ロングヒットの軌跡

 そんな彼女のSpotify人気曲第1位は、「また君に恋してる」。’08年に三和酒類「いいちこ日田全麹」CMソングに起用され配信限定でリリースし、翌年の’09年1月のシングル「アジアの海賊」のカップリングとしてCDリリースされてから、同年10月に両A面シングルに。さらに同年末の紅白歌合戦で歌ったところ大きな反響を呼び、CD売上が累計37万枚以上(オリコン調べ)、配信は100万ダウンロード突破(日本レコード協会調べ)と、彼女にとって初の配信メガヒットとなった。そして今回の結果を見ると、サブスクでは2位以下に倍近い大差をつけて広く支持されていることが分かる。

「これは『いいちこ』さんのCMソングですね。’80年代から、このCMではビリー・バンバンさんがいろんな曲をお歌いになっているのですが、新商品を発売するにあたって私にお声がかかりました。ビリー・バンバンさんも、前の年に『また君に恋してる』を歌っていらして、そのフォーク系の楽曲をカバーしてください、ということでした。

 それで、新CMが流れ始めたら、“これは、いったい誰の声だ?”という反応が出たので、翌年の1月に『アジアの海賊』のカップリング曲としてCDに収録することになったんです。CMで曲が流れることが多くなったものですから、カップリングのほうも人気が出てきて、両A面で発売することになりました。

 そのうちに、ダウンロードでも話題となって、『紅白』で歌うことになったんです。まさに、“気がついたら、あれよあれよという間に浸透していた”という感じでした……!」

 本作がCDやダウンロードでもっともヒットしたのは’10年の4月下旬。つまり、『紅白』一発のみで売れて終わりではなく、その後も『金スマ』(『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』/TBS系)などのバラエティ番組で歌われたり、情報番組やネットニュースなどでこの曲の人気ぶりが報じられたりと、プロモーションが積み重なった。その結果、坂本の新たな魅力が伝わり続けて息の長いヒットとなり、令和の今でもダントツで支持される楽曲となったのだ。

 坂本自身は、カバー曲が代表曲となることに戸惑いはなかったのだろうか。

「実は、ちょっとあるんです。だから今でも遠慮があるんですよ(笑)。オリジナル曲の『夜桜お七』よりも上位というのは、気になるところではありますが、考えてみると『また君に恋してる』を“坂本冬美の歌”として聴いていただけるのも、光栄なことですよね。実際に、『また君』は『夜桜』とともに、コンサートのセットリストでは絶対に外せない2曲です。もうイントロが流れた瞬間に、お客さまからたくさんの拍手をいただくというのが、他の曲とまったく違う反応で。私にとっては大きな財産ですね!」

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