坂本冬美、「また君に恋してる」の人気ぶりに「戸惑いもある」と告白… 『紅白』で9回歌われてきた「夜桜お七」の誕生秘話も

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記録と記憶で読み解く 未来へつなぐ平成・昭和ポップス 坂本冬美(全4回の第1回)

 この連載では、昭和から平成初期にかけて、たくさんの名曲を生み出したアーティストにインタビューを敢行。令和の今、Spotifyなどの音楽ストリーミングサービス(サブスク)で注目されている人気曲をランキング化し、各曲にまつわるエピソードを深掘りすることで、より幅広いリスナーにアーティストの魅力を伝えていく。

 今回は、演歌歌手の坂本冬美にお話を伺った。坂本は1987年にシングル「あばれ太鼓」でデビューしたのち、コブシを利かせた威勢のいい歌声が特徴の“正統派演歌”を多数リリースし、’94年にはロックと演歌を融合したような斬新なスタイルの「夜桜お七」が大ヒット。また、’09年にフォークソングのカバー「また君に恋してる」、さらに’20年には、桑田佳祐プロデュースのシングル「ブッダのように私は死んだ」も話題となるなど、その縦横無尽なレパートリーには驚かされる。

 ’23年までのNHK紅白歌合戦への出場回数は35回を数え、これは昨年の出場者では石川さゆり(46回)、郷ひろみ(36回)に次ぐ多さで、’80年代デビューの中ではダントツだ。

 坂本冬美のSpotifyにおける月間リスナーは、約13万人(’24年6月現在)。そして坂本冬美の場合、月間リスナーが同程度のアーティストと比べ、各楽曲の再生回数が軒並み高い。つまり、彼女の楽曲は1曲だけの単独再生ではなく、アルバムやプレイリストなどでまとめて何曲も聴かれる傾向があるのだ。

 坂本にふだんのサブスク利用状況を尋ねてみると、

「実は、これまで試したことがないんです(苦笑)。家にいる時は、なにか作業をしながら桑田佳祐さんやサザンオールスターズのCDをかけていることが多く、移動中は、(コンサートや舞台で披露するために)覚えなくてはならない曲を録音してはひたすら聴く、という繰り返しで……」

 多忙ゆえに、まだ堪能できてはいないと恐縮しつつも、取材開始前から自身の楽曲の人気ランキングには興味津々。

「ここでは『夜桜(お七)』が2位なんですね!そして、五木ひろしさんとの『居酒屋』が3位。さらに、『地上の星』に『秋桜』……こんなにカバー曲まで聴いてくださっているなんてビックリ!ちあきさんの『喝采』も19位!」

 この興奮した様子からも、彼女がさまざまなジャンルに楽しみながら挑んできたことがうかがい知れる。

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