「花の35期」から新「最高裁長官」誕生 「経産省“女性用トイレ”裁判」で全国紙一面を飾った過去

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トイレ判決と性別変更手術要件

 一昨年からは最高裁判事を務め、そこで関わった判決の中には、大きな話題となったものがある。

 昨年7月、裁判長として下した、トランスジェンダー「経産省トイレ制限」違法判決は主要紙すべてが一面で報じたほど。

「経産省に勤務するトランスジェンダーの職員が、勤務フロアの女性用トイレの使用が認められないのは違法だと訴えた裁判です。この職員は、性自認は女性であるものの、性別適合手術を受けておらず、男性器を持つため、経産省は“他の女性職員へ配慮する必要性がある”と主張しました。地裁は職員、高裁は経産省が勝訴しましたが、最高裁は原告の主張を認め、違法との判決を出した。その直前、歌舞伎町のジェンダーレストイレが話題となり、国会でもLGBT理解増進法案が審議されたこともあって、大きな論議を呼びました」(同)

 また、昨年10月に最高裁は、「性同一性障害特例法」が、性別変更の際に生殖能力を無くす手術を要件としているのは違憲との判決を下した。こちらも主要紙がすべて一面で報じた。今崎判事はこの判決にも15名の裁判官の一人として加わっている。

「トランス女性が、手術を受けずに性別を女性に変更するために申し立てた裁判です。一審、二審は退けられましたが、特別抗告した最高裁で主張が認められました。性別変更に手術要件が無くなれば、男性が母に、女性が父親になることが可能になるため、この判決も賛否分かれる議論を招きました」(同)

 任期は定年を迎える2027年11月までだ。この3年間、最高裁ではどのような重大判決が下されるのだろうか。

デイリー新潮編集部

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