「市長職も任期中に放って、都知事選で知名度を上げた」 安芸高田市、“反石丸”新市長が語った石丸伸二氏の今後

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驚異的な健闘

 空前の乱戦となった都知事選は、現職の3選で幕を閉じた。大方の予想を覆して2位と大健闘したのは、ネットの“切り抜き動画”でのし上がった石丸伸二・前広島県安芸高田市長(41)。その都知事選と同日、石丸氏の辞職に伴う安芸高田市長選も行われ、前市長の手法に批判的な新顔の藤本悦志氏(51)が当選している。後任の藤本新市長が予測する石丸氏の今後の動きとは――。

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 ネット社会が生み出したダークホースの石丸氏が躍進し、さらには学歴詐称問題もくすぶる中、前回の得票数から70万票以上減らしながらも小池百合子都知事(71)は当選した。

 立憲民主党の看板議員だった蓮舫氏(56)を完膚なきまでにたたきつぶした石丸氏は、ネット活用のみならず、街頭演説を重ねて無党派層を取り込み、ふたを開けてみれば蓮舫氏と37万票差で堂々の2位。市長時代には議会やメディアと対峙する様子が、非公式の“切り抜き動画”によって喝采を博し、ネット上でファンを増殖させてきた人物である。

 対立した市議とは訴訟に発展するなど、地元ではしこりを残しながらも「改革派」として都知事選に参戦。驚異的な健闘で、がぜん注目が集まった。

「相手をたたくやり方がこれだけ人気というのは…」

 都知事選と同日に行われた安芸高田市長選で初当選した藤本新市長は8日に初登庁し、職員を前に“議会との対話で関係を改善したい”と訓示。また就任会見では、石丸氏が爆発的人気を得るきっかけとなった、ネット上で拡散されている“切り抜き動画”についても対応を検討していく姿勢を示したのだった。

 当の藤本市長に聞くと、

「自分の選挙に必死で、都知事選のニュースは見ていませんでしたが、石丸さんが160万票以上も集めたとのこと。対立軸を作って相手をたたくやり方がこれだけ人気というのは、どうなのかと感じます」

「動画を見た人から言葉の暴力を受けた市議さんも」

 そう前置きしながら、

「ああいう手法は、最初は新味があって良いかもしれませんが、ずっと続けば嫌になります。人間関係は格闘ではなく、社会も調和で形成されているのですから、意見が合わない時は話し合って進めないといけません。また切り抜き動画については、今後きちんと調べ、悪質なものは止めていくつもりです。世間ではSNSによって精神的に追い詰められる方もいると聞きます。実際にうちの議会にも、切り抜き動画を見た人から言葉の暴力を受けた市議さんがいるのです」

 前任者の今後については、

「(会見での発言の通り)石丸さんが(衆院)広島1区から出るのかは分かりませんが、策略家なのでいろいろ考えているでしょう。結果的に市長職も任期中に放ってしまいましたし、都知事選を踏み台にして知名度を上げていったのかもしれません」

 7月11日発売の「週刊新潮」では、都知事選の最中に「石丸応援団」に加わったという、KDDI創業者の千本倖生氏の「支持の理由」、さらに識者の見方を多角的にレポートしている。

週刊新潮 2024年7月18日号掲載

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