新宿野戦病院 英語を話す小池栄子、舞台は歌舞伎町で発砲・流血シーンも…イマドキでないドラマを作るクドカンの狙い

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 7月3日、宮藤官九郎が脚本を手掛けるドラマ「新宿野戦病院」(フジテレビ)がスタートした。初回の視聴率は7・9%。前クールの水曜22時枠「ブルーモーメント」の8・6%より0・7ポイント低かったものの、クドカンのドラマとしてはまずまずのスタートだった。(以下、視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯)

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 以前、デイリー新潮は「『俺の家の話』早くも1桁 面白いけど数字が取れない『クドカンドラマ』の謎を解く」(2021年2月5日配信)で、クドカンドラマはそれほど数字が取れていないことを報じた。その状況は今も変わっておらず、今年1月期に大きな話題となった「不適切にもほどがある!」(TBS)ですら最高8・3%、平均7・4%だった。民放プロデューサーは言う。

「『不適切にもほどがある!』の初回は7・6%でしたから、だいたい7%台がクドカンファンの基礎票といったところなのでしょう。視聴率はそれほどではないクドカン作品ですが、その中にも当たりと外れがある。初回を見る限り『新宿野戦病院』は、どちらかと言えば外れの可能性が高いですね」

「新宿野戦病院」は《新宿・歌舞伎町を舞台に“命”をテーマにした新たな“救急医療エンターテインメント”ドラマ》(公式ホームページより)。

「新宿の救急病院“聖まごころ病院”の医師たちと、そこに集まってくるワケあり患者たちとの交流を描いた……と言うと聞こえはいいのですが」

 黒澤明監督の映画「赤ひげ」のようだ。

「クドカンは昨年、黒澤映画『どですかでん』の原作である『季節のない街』(Disney+で配信後、今年4月からテレビ東京で放送)で脚本・監督を務めました。今度は“令和の赤ひげ”かもしれません。もっとも、まごころ病院にはまともな医者はいませんが」

初回は詰め込みすぎ

 主演はアメリカ国籍の元軍医(日本では無免許医)の小池栄子と美容皮膚科医の仲野太賀。アルコール依存症の院長に柄本明、その弟で不動産コンサルタントの生瀬勝久、内科・小児科医の岡部たかし、泌尿器科・性病科医の馬場徹、病院の経理担当・高畑淳子、院長の娘で医大に受からずソーシャルワーカーになった平岩紙、看護師長(役柄では婦長)の塚地武雅といった面々が病院にはいる。

「さらに、NHKの朝ドラ『あまちゃん』の“ユイちゃん”こと橋本愛はNPO法人のスタッフ役で、『季節のない街』で“六ちゃん”を演じた濱田岳は警察官役で登場。クドカン作品お馴染みの俳優も多い。一方で、現在放送中の朝ドラ『虎に翼』に出演していた仲野、岡部、平岩、塚地らを引っ張ってきたのには力業を感じました。それだけに、初回から何かと詰め込みすぎかなと思いました」

 もともとクドカン作品は詰め込みがちだが、

「それでも1本筋が通っていないと、視聴者は付いてきてくれません。『あまちゃん』では海女からアイドルへ、そこに東日本大震災という太い筋書きがありました。『不適切にもほどがある!』にも令和のコンプライアンスに対するアンチテーゼがあった。それに比べ『新宿野戦病院』は、歌舞伎町を舞台にモザイク様の人間模様を描きたかったのでしょうが、まだ筋が見えてきません。むしろ、それ以外の細かいところが気になってしまう」

 例えば、小池栄子の演技……。

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