「仮面浪人」は許される行為なのか?――「東大を再受験した京大生」が引き起こした100年前の大論争
第一志望の大学に合格できなかった学生が、別の大学に通いながら受験勉強を続け、再び志望校を受け直すことを「仮面浪人」という。現代ではそれほど珍しくない行為かもしれないが、今から100年以上前、著名人を巻き込む大騒動となった仮面浪人事件があった。日本思想史研究者・尾原宏之さんの新刊『「反・東大」の思想史』(新潮選書)から、その興味深い顛末を紹介しよう。
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1921(大正10)年の春、京大法学部の1年生、杉之原舜一が東大法学部を受験し、見事合格した。...