「汚水を出さないトイレ」が被災地で活躍中
世界で初めての完全な循環型トイレ
発災から半年が過ぎても復興の遅ればかりが目立つ能登半島で、被災地支援のために提供された画期的なトイレが活躍している。
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見た目はコンテナのようで、一見、普通の仮設トイレと大差はない。
しかしその性能は段違い。微生物の働きで汚水を浄化し、洗浄水へとリサイクルできるだけでなく、し尿の悪臭はもちろん、汚泥さえまったく残らず、除去の必要がない世界で初めての完全な循環型トイレ――とされる、その名も「A.Qトイレ」だ。
利用者からの評判は
このトイレを無償で提供したのは総合建設コンサルタント企業で、販売元でもある長大。能登半島地震発生後に、道路や橋の点検部門での支援要請を受け現地を視察したのをきっかけに、A.Qトイレの設置を提案した。能登町の「すぐに欲しい」という要請に応え、岐阜県のキャンプ場等で利用されていたトイレを、断水が続いていた3カ所の避難所に4基移設し、1月24日から稼働させている。
それまで、避難所のトイレはバケツにためた水を使って流していた。断水中だったので、毎日近くの用水路から水をくんでこなければならなかったため、避難所の人はもちろん、近所の住人からも「家のトイレが流せなかったときに使わせてもらった。温水洗浄と温かい便座がありがたかった」と大歓迎された。
利用者に好評だっただけではなく、汚水を流さず環境対策にもなるということで、能登町はA.Qトイレの買い取りを決定。町営の公園に1基設置することになった。また、被害が大きかった珠洲市からも同様の引き合いがあり、6月下旬に珠洲ホースパークにこのトイレが設置された。
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