坂本勇人が1軍復帰したら5番・大城卓三はどうなる?【柴田勲のコラム】

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坂本復帰後の大城は?

 この坂本に代わって5番を務めているのが大城卓三だ。打棒は絶好調(※1)。坂本が不在となった後、阿部慎之助監督は岡本和を一塁から三塁に動かして、大城を一塁で起用している。いわば一時しのぎだ。

 阿部監督は坂本が復帰したら大城をどうするのか。坂本が三塁に復帰すれば、岡本は一塁に回る。大城は使えなくなる。

 岸田行倫が正捕手を奪取するような勢いだ。課題だった打撃もよくなってきたしスタメンマスクをかぶる機会が多くなった。左投手が先発の時は岸田、右投手の時は大城なのか。大城を引っ込めるのか。それでも長打力のある大城は使いたいところだ。相手チームにとってはイヤだ。先の話になるが悩ましい。

 遊撃は門脇誠と泉口友汰の併用となるだろう。阿部監督にとって2年目・門脇の開幕からの不振は誤算だったろう。だが、二人とも打撃はともかく、守備はいい。内野ならどこでもOKの新外国人選手を獲得するらしいが、獲得するなら外野手ではないか。

 丸、エリエ・ヘルナンデスはともかく、1人穴が空いている感じだ。下位打線が弱くなる。2年目の萩尾匡也は結果が出せず、新人の佐々木俊輔、立岡宗一郎らを使っているが、その他の顔ぶれは西武から移籍してきた若林楽人、重信慎之介、長野久義……。秋広優人、梶谷隆幸はファームのままだ。外野手は最低でも打率2割5分から2割7分は欲しい。現メンバーでは多くを望めない。

先発陣は充実

 9、10日の先発は山崎伊織、井上温大か。先発陣は戸郷翔征、フォスター・グリフィン、菅野智之と充実している。抑えはアルベルト・バルドナードよりも大勢だと改めて思った。上半身の力を使って目いっぱい投げていたが、最近は力を抜いて楽に投げている感じがする。三振を狙うよりも打たせて取るピッチングを心がけてもいい。

 巨人にとっては今季の行方を占う8試合が始まる。大いに注目していきたい。

 15日の巨人対阪神戦後、「伝統の一戦~レジェンズOB対決~」が行われる。プロ野球90周年の節目を記念して、球団創設90周年を迎える巨人と、ともにプロ野球の歴史を刻んできた阪神OB選手による試合で、私も出場する。

 次回はこの模様を交えてお伝えしたい。

※1 交流戦以降の12試合で36打数16安打、打率4割4分4厘、7月に限れば打率5割2分9厘

(成績などは8日現在)

柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

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