ジャッキー・チェンとのコラボに失敗、世界デビューし損ねた「日本人レスラー」と「元ジャニタレ」

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大の親日家

 ジャッキー・チェン(70)の最新作、「ライド・オン」(ラリー・ヤン監督)は、ジャッキー演じる一線を退いたベテランスタントマンが、あることをきっかけにふたたび危険なスタントに挑む姿を描いたアクション作品である。日本公開では吹き替え版も上映され、これまで彼の吹き替えを数多く担当し、2023年3月末をもって「声優業引退」を発表していた石丸博也(83)が、本作のために限定復帰したことも、往年のファンを喜ばせた。

「芸歴50年、70歳」という2つの節目で迎えた最新作ということもあり、公開を前に13年ぶりの来日を果たした。今作の海外プロモは日本だけだというが、ジャッキーはノリノリで、

「みなさん、こんばんは。お久しぶりです。映画見た? 好き?」

「長年、日本のファンの皆さまは応援してくれた。ついこの間も、私がいないにも関わらず誕生日パーティーを開いてくれまして」

 と、流ちょうな日本語でファンに感謝を表した。来日中に「食べたい物」を聞かれると、即答で、「カニ、九州ラーメン、わさび」と答え、会場を沸かせていた。

「もともと親日家のジャッキーですが、今回は3日連続で都内の劇場で舞台あいさつを行いました。最終日のイベントで、映画の主題歌が流れるとそれを生で熱唱するファンサービスもありました。本人が明かしたところによると、コロナ終息後、すでに5本の映画を撮影済みだそうです。その中には、2010年に公開された、名作映画シリーズ『ベスト・キッド』のリメイク作の続編もあるそうで、今後も作品のプロモーションで来日してファンを喜ばせてくれるはずです」(イベントを取材した記者)

 ブルース・リーが1973年7月に急逝後、サモ・ハン・キンポー(72)、ユンピョウ(66)、ホイ3兄弟らと共に、上り調子だった香港映画界をけん引してきたジャッキーは主演作「ドランクモンキー 酔拳」(78年)などを経て、ハリウッドへ進出。「プロジェクトA」(83年)、「スパルタンX」(84年)、「ポリス・ストーリー/香港国際警察」(85年)や、米俳優クリス・タッカー(52)と共演した「ラッシュアワー」シリーズなど多くのヒットを飛ばし、02年10月にハリウッド殿堂入りを果たした。名実ともに「世界のスーパースター」となったが、実はアジア圏内での“立ち位置”は微妙だという。

香港では「裏切り者」

「89年の天安門事件では、他の芸能人らと香港で学生への支援コンサートに参加したものの、2013年以降、中国の全国政治協商会議の委員を務めるようになってから、中国寄りの言動が目立つようになりました。極め付きは21年7月、『共産党は偉大だ。私も共産党員になりたい』と表明しました。97年の中国返還後、香港の映画は中国資本なくして成り立たないという事情もありますが、彼の本意なのかどうか」(外信部記者)

 ジャッキーの父であるファン・ダオロン氏は、日中戦争終結後、共産党と内戦状態にあった国民党のスパイで、上海を中心に工作活動を行っていた。「国共内戦」で共産党が優位になると香港に脱出。偽名で生活するうち、アヘンの密売で生計を立てていた女性と知り合い、結婚。1954年、ジャッキー・チェンが生まれた――。

「03年に公開されたドキュメンタリー映画『失われた龍の系譜 トレース・オブ・ア・ドラゴン』で公表された、衝撃の事実でした。かつて自分の父が命を懸けて対峙していた共産党にすり寄る姿勢に、香港のファンは違和感を抱いているそうです。2020年には国家安全法の香港への導入について、2000人を超える香港の芸能関係者と連名で支持を表明し、大陸寄りの姿勢が鮮明となっています。日本では“香港の庶民派スター”というイメージが強いですが、中華圏では立派な“愛国スター”と認識されており、香港では『裏切り者』との批判を受けています。それだけに、今や、ジャッキーにとって日本は最も重視するマーケットなのかもしれません」(映画担当記者)

 とはいえ、イベントは盛り上がったものの、「ライド・オン」の集客は苦戦している。公式Xによると、6月20日に興収1億円を突破したが、かなり物足りない数字だという。

「公開から1カ月経過した時点で、全国42館で公開されていますが、一番集客が期待できる都内ではわずか4館。若い世代は同作を鑑賞することはないでしょう。もっと公開館を増やし、応援上映などのイベントを仕掛けていれば、もう少し数字は伸びていたはずです」(同)

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