「ジョイマン」「小島よしお」「テツandトモ」の成功で再注目 「営業で稼げる芸人」「YouTubeに活路を見出す芸人」の決定的な違いとは
いまやお笑い芸人がテレビと同じくらい力を入れるYouTube。すでに単なる“副業”の域を超え、収入の柱と位置付ける芸人も珍しくない。そんななか、業界内でテレビ以外の“稼ぐツール”として、改めて注目を集めているのが「営業」という。その王道回帰の裏側を覗くと、サラリーマン社会にも通じる「普遍の仕事論」が見えてきた。
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【写真】業界関係者が明かした「営業で成功する芸人」「不向きな芸人」とは
2007年に“ゆるラップ”ネタで大ブレイクしたお笑いコンビ「ジョイマン」が現在、2度目のブレイクを迎えているという。
「ジョイマンのコンビ結成は03年。“ゆるラップ”で注目を集め、一躍テレビに引っ張りダコとなりましたが、ブームは1年程度で終焉。09年以降はテレビで姿を見かける機会も急減し、長く『一発屋芸人』のレッテルを貼られてきた。ところが、いまやジョイマンがこなす営業の数は所属する吉本興業のなかでトップとなる“超売れっ子”芸人へと返り咲きました」(お笑いライター)
ブレイク時の最高月収は「月180万円」にのぼったというジョイマンだが、当時は浮き沈みも激しかった反面、現在は「月100万円」程度を安定して稼いでいるという。
「一時は『月収4万円』にまで落ちたそうですが、コンビ解散を選ばず、営業に賭けることに。“テレビで負けても、営業で勝つ”の精神で試行錯誤を繰り返すうち、10年の時を経て“吉本イチの人気芸人”として復活した。ドン底から再び〈芸人ドリーム〉をつかみ取ったジョイマンの姿に勇気づけられる芸人は多いと聞きます」(同)
現場は“半分アウェー”
ジョイマンだけでなく、「そんなの関係ねえ!」のギャグで一世を風靡したピン芸人・小島よしおや“なんでだろう”の鉄板ネタが健在の「テツandトモ」も、営業の現場では相変わらず“超”の付く人気芸人だという。
お笑いプロダクション関係者の話。
「テレビと比べて営業を“格下”と見る若手芸人も一部にいますが、『ウケなければ次はない』のが営業の世界。テレビのように編集でゴマかすこともできず、“名前があればいい”という世界でもない。『営業のほうがシビアで厳しい』点があるのは関係者の間で共通した認識です」
もちろんテレビで一度、名前を売ったほうが仕事が舞い込みやすいという面はあるため、営業とテレビを完全に切り離して考えることは難しいが、注意すべきはテレビでの感覚をそのまま営業の現場に持ち込むことだという。
「発注者は一般企業が多いので、芸人のほうから『よろしくお願いします』や『ありがとうございます』などの基本的な挨拶ができないと話にならない。つまりチヤホヤされたテレビ時代のプライドを捨て去ることができるかどうかがカギの一つになります。またお客さんが芸人目当てで集まっているわけではないので、“半分アウェー”の空気を覚悟する必要もある」(同)
実際、ジョイマンの池谷和志もABEMAテレビの取材に対し、「全員がお笑い見たい人ではないじゃないですか。そういう人にもちゃんと“下”から入って、礼儀正しいんだなっていう好感を持ってもらいたい」と営業に臨む際の心構えを明かしている。
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