田中将大(35)200勝“寸止め”の「延命工作」 大減俸は覚悟、進退懸ける“勝負手”とは
来季に200勝達成の青写真?
昨オフに受けたクリーニング手術ではオープン戦の投球を見る限り、往時の球威が戻ったとは言い難かった。時間をかけ、一から立て直すことの必要性を誰より本人が自覚していたことだろう。在京球団編成担当は田中将が置かれた状況に言及する。
「もし今年、中途半端な状態でシーズン序盤に1軍に上がってきていれば、三つは何とか勝ち、200勝にたどり着いていたかもしれません。ですが、そのような状態で記録を達成すれば、来季の契約に関わってきます。球団としては大記録を達成し、区切りがついたことで、来季に2桁勝利を計算できないマー君に対しては、肩たたきをしてくるでしょう。コーチ兼任にして事実上、戦力構想から外すとか、その手順さえ踏まず、いきなり戦力外通告するとか……。マー君もそうなる事態を想定しているからこそ、今季は一つか二つ勝ちを積み上げるだけで200勝は寸止めとし、来季に200勝するというよりも選手生命を懸ける青写真なのではないでしょうか」
田中将の今季年俸は楽天復帰時から大幅に減ったとはいえ、2億6000万円を稼ぐ。主砲の浅村栄斗内野手の5億円、クローザーの則本昂大投手の3億円に続き、チーム3位の高給取りである。
200勝未達ならクビ切りできない球団事情
親会社は携帯電話事業の不振により依然、経営環境が厳しいままで、後半戦でよほどの好成績を残さない限り、田中将に今季同様の減額制限(年俸1億円超は40%)を超える大幅減俸が提示されることは必至だろう。
ただ、200勝に到達していなければ、楽天からの契約打ち切りは考えづらい。
「マー君はその球団事情をも見透かした上で、来季に向けて万全の状態にするため、今は調整に余念がないのでしょう。来季は序盤で200勝を達成し、最終的には2桁勝利を挙げるなどして、オフにはあわよくば他球団からも声が掛かるような“売り手優位”の状態に持っていこうとしているのではないでしょうか」(同編成担当)
パ・リーグはソフトバンクが独走態勢を築いているもののAクラス争いは混戦で、楽天にも十分チャンスはある。仮にクライマックスシリーズ(CS)に出場すれば、田中将には絶好のアピール機会となるかもしれない。ヤンキース時代、プレーオフにはめっぽう強かった。ニューヨークの辛辣なメディア、目の肥えたファンも一目置いていた。胴上げ投手になった13年の日本シリーズも語り草になっている。持ち前の短期決戦での勝負強さを発揮すれば、日本球界復帰後の低評価を一変させることも可能だ。
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