月9「海のはじまり」 「silent」と似ている点、違う点はどこか……第1話をみたドラマ通の評価

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絶賛される子役

「BGMはほとんどなく、ドラマ全体がゆったりとした流れで、セリフは少なめでゆっくりとポツポツ話す。そのためTverの再生速度は最大で1.75倍なのでセリフが聞き取れます。また、俳優のアップが多めなので、スマホなどの小さい画面でも楽しめる。しかも初回には、目黒が元カノの古川琴音から別れを切り出される電話のシーンは5分24秒もあるワンショットかつノーカット。『silent』とよく似ていますね」

「silent」の長回しの電話のシーンは、実際に通話しながら撮影したことが後に明かされた。今回も同じ手法を取ったのかもしれない。

「『海のはじまり』のロケ地は主に小田急線の経堂駅の周辺のようですが、初回の冒頭、目黒が道に迷うシーンは下北沢と世田谷代田の中間にあるY字交差点です。『silent』は世田谷代田がロケのメインだったので、2つのドラマのつながりに喜んだファンも少なくなかったようです」

 早くもZ世代の取り込みに成功したようだ。とはいえ「silent」のまんまというわけではない。

「月9だけにキャストに力を入れています。主演の目黒の相手役は有村架純。連ドラ出演は珍しい池松壮亮と大竹しのぶ。『silent』で目黒の父親役だった利重剛は元カノ・古川琴音の父親を演じています。目黒の父親は『アンチヒーロー』(TBS)で曲者のパラリーガル(法律事務所スタッフ)を演じた林泰文、母親は西田尚美と、それぞれ実績十分の演技派が揃っています。この配役だけでも、Z世代のみならず大人のドラマ好きにアピールできるでしょう。決してスマホに特化したドラマではありません。さらに、『silent』にはいなかった子役が登場しました。目黒と古川の間に生まれた娘・海を演じる泉谷星奈(いずたに・らな=7)です」

有村架純という二ノ矢

 大河「鎌倉殿の13人」(NHK)では義経の娘役を演じ、「オールドルーキー」(TBS)、「クロサギ」(同前)、「春になったら」(フジ/カンテレ制作)などの人気作にも出演した。また、紙おむつのメリーズ(ビッグより大きいサイズ)のパッケージモデルも務めている。

「演技は上手いし、早くもSNSで絶賛されています。彼女を起用しただけでも、このドラマの勝ち目が出たと言ってもいいでしょう。実は『silent』チームが昨年10月期に制作した『いちばんすきな花』で、今田美桜の幼少期を演じていたのが彼女です」

 もっとも「いちばんすきな花」は平均視聴率5・1%とそれほどの結果は残せなかった。

「その反省もあって、『silent』に原点回帰したのだと思います。その『silent』も再生数ではトップでしたが、視聴率で見ると平均7・6%、最高9・3%と抜群とは言いがたかった。『海のはじまり』は、初回にあまり出番がなかった有村架純という二ノ矢が存在することが『silent』との大きな違いと言っていいでしょう。彼女は映画『花束みたいな恋をした』という代表作があり、6月に公開されたばかりの映画『ディア・ファミリー』ではほんのわずかな出演で満場を泣かせましたが、民放の連ドラではいまひとつです。『silent』の川口春奈のように、この作品でNo.1になる可能性はあると見ています。視聴率と再生数、どちらも今後は上向くでしょう」

デイリー新潮編集部

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