“牛丼並”と“生卵”を頼むのに1分かかる…「吉野家」の“タッチパネル式タブレット”はなぜ不評を買っているのか

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トップページに「牛丼」があればいいだけ

 タブレットのメリットももちろんある。例えば、昼食の時間帯などで店内が混雑している時には、店員を呼ばずに注文できるので利便性が高い。しかし、それ以外の時間帯は店員に口頭で伝えた方が絶対に早いうえに、楽なのだ。

 せめて、トップページに牛丼のメニューを表示してくれていれば、何も文句はない。ちなみにすき家もタブレットを導入しているが、トップページに牛丼の表示があるのでありがたい。吉野家もこれを見習ってほしいのである。そして、生卵(と、半熟卵)の注文がサッとできるようにしてほしいのだ。

 既に述べたように、吉野家ではタブレットが導入されていない店もまだある。移行期であるため、店員も、客も、まだ十分に使い慣れていないように思うし、店側も柔軟に対応している。筆者の近所の吉野家はタブレットが導入されているが、高齢者の利用が比較的多いこともあってか、口頭でも注文できるようになっている。

 しかし、昼過ぎに都内のある店舗に入ったら、店内に客が誰もいなかったので店員に口頭で注文しようと思ったら、「注文はタブレットをお使いください」と全力ですすめられてしまった。これには参った。「お客さんがいないんだから、口頭でもいいじゃないですか」などと言うとモンスタークレーマーのようになってしまうので、グッとこらえてタブレットを操作したが、何度やっても使いにくいと感じた。

電子機器のせいで不便になっている

 人口減少などもあって労働力の確保が難しくなっている令和の時代、タブレットは飲食店の必須アイテムになるだろうし、目にする場面も増えていくことだろう。筆者は合理化には理解を示すし、致し方ないと考える。しかし、導入するからには操作性をもっと検討してほしいものだ。

 本来、便利であるはずのタブレットが煩わしく、人間がやっていたことの機能を十分に代替できていない事例が目立つのである。JR東日本のみどりの窓口の削減に批判が集まったのも、窓口のかわりに推奨されている「えきねっと」などのアプリや指定席券売機がとにかく使いにくいためであった。これでは本末転倒である。

 ところで、日本企業や政府が開発したアプリは何かと使いにくいものが多いと感じるのは筆者だけだろうか。直感的に操作できるようにしてほしいのだが、余計な広告がでてきたり、おすすめ商品の画面が出てきたりして、目的とする画面までスムーズにたどり着けないのである。

 IT関連の商品やサービスは、人がやっていたときよりも便利で使いやすくなったものは歓迎され、一気に普及していく。しかし、どうにも人にやってもらったほうが便利な例はまだまだ多いようだ。吉野家さん、これからも通い続けますので、どうか、タブレットのトップページに“牛丼”を置いていただけますでしょうか。これだけは切に要望したいのである。

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