7月「日銀会合」に向け「変動金利」上昇のカウントダウン それでも「ネット銀行」の金利引き上げが一筋縄ではいかない理由

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新たな差別化競争の流れ

 政策金利の引き上げにより、ユーザーが金利差を見る目がより厳しくなることで、むしろ銀行間の差別化競争がより激しくなると予想される、というわけか。

「超低金利時代の金利競争は行き着くところまで進んでしまい、昨今は団信の充実度によって差別化を図る銀行も増えてきた。PayPay銀行などがペアローン世帯を対象に始めた“夫婦連生団信”もその1つです」(塩澤氏)

 夫婦連生団信は、がんなどの重篤な病気のほか、すべての病気・ケガで入院し、夫婦どちらかが一定の期間以上働けなくなった場合、夫婦両方の残債が0になるという新商品だ。

「その分、上乗せ金利は増えます。ただ、ペアローンで住宅を購入する世帯は必然的に購入する物件価格も高い傾向にあるため、“万が一”が起きた際のリスクヘッジとして、実際に加入する夫婦も増えてきているそうです」(塩澤氏)

 さらに最近では新たな差別化競争の流れも。

「ネット上で大々的に金利キャンペーンを行うと、ライバル行に追随されてしまうリスクがあります。それを避けるために、あえてクローズドな場で金利を引き下げる動きが出始めています」(塩澤氏)

 どういうことか――?

「少し宣伝になってしまうのですが、我々の提供するモゲチェック住宅ローン診断のユーザーのうち、一定の条件を満たしたお客さまに向けて、PayPay銀行のペアローン団信の金利を通常より引き下げるというサービスを始めました。今後はこうしたクローズドな場所での顧客獲得競争もより進んでいくと考えています」(塩澤氏)

 銀行側は「集客」と「顧客の選別」のコストを省略でき、事業者は広告収入を得る。ユーザーは条件をクリアできれば追加の金利引き下げを得られる、という仕組みだ。

 金利引き上げにより、今後ますます加速していくことが予想される銀行間の差別化競争。利用者が自分自身で比較・検討する重要性がさらに高まっている。

デイリー新潮編集部

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