7月「日銀会合」に向け「変動金利」上昇のカウントダウン それでも「ネット銀行」の金利引き上げが一筋縄ではいかない理由

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 7月31日に控える日銀政策決定会合に向け、少しずつマーケットが利上げを織り込み始めている。特に長期金利に連動する住宅ローンの「10年固定金利」の適用金利は1.58%、「フラット35」は1.84%と、高止まりが続いている。一方、短期金利に連動する「変動金利」では0.38%と低位で安定しているが、今後の行方は“日銀次第”としか言いようがない状況だ。

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銀行間の金利政策に違いが出始めている

 会合で政策金利の引き上げが決まれば、短期金利が上昇し、各行の変動金利も引き上げられる公算が大きい。今は住宅購入者の7割が変動金利でローンを組む時代。それだけに、金利の動向に多くの人が熱視線を注いでいるのだ。

「結局は変動金利の上がり幅も政策金利の通りになるんでしょ?」

 そう考える人が多いかも知れないが、低金利がウリのネット銀行では、近ごろ銀行間の金利政策に違いが出始めているのだという。

「大手ネット銀行で最初に金利を引き上げたのは住信SBIネット銀行で、5月1日から“基準金利”を0.1%引き上げています。また直近では、auじぶん銀行が7月から“適用金利”を0.01%引き上げました」

 そう解説するのは、住宅ローンアナリストの塩澤崇氏だ。

「実際に貸し付け時に設定される“適用金利”は、各銀行が独自に定めた“基準金利”に、申し込み時の特約で決まる “引き下げ幅”を差し引いた数字となります」

 少し細かい話になるが、住信SBIネット銀行は“基準金利”を0.1%引き上げたうえで、“適用金利”の上げ幅は“引き下げ幅”の調整によって0.01%に留めている。一方のauじぶん銀行は、今回の変更では“基準金利”には手を付けず、“適用金利”のみ0.01%引き上げた。

「変動金利で借りた後、”適用金利”が上がるか下がるかは”基準金利”次第です。基準金利を引き上げた住信SBIネット銀行では、既存ユーザーの金利支払いに影響が出ます」(塩澤氏)

 こうした細かな違いも、各行の金利政策を紐解く手掛かりになるという。次項で詳しく解説する。

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