ソフトバンク、年間100勝ペースで独走中!「4軍」で“歴史的快進撃”を支える“恐るべき下地”を目撃した!
今季から4軍を率いる、かつての「大エース」
柳田のような大黒柱が抜けようとも、次々に新戦力が現れ、チーム力の落ち込みを最小限に抑えている。開幕からの2ヵ月間、ファーム調整を余儀なくされた5年目の外野手・柳町達も、5月下旬の交流戦開幕に合わせて1軍合流すると、柳田離脱後は外野のレギュラーの一角を取り返した。
柳田がルーキーイヤーの2011年から4年間つけた「44」を背負う「ギータ2世」こと、4年目の22歳・笹川吉康は、交流戦期間中に初の1軍昇格を果たすと、プロ初本塁打をマーク。
将来の主砲候補との期待がさらに高まり、1軍ベンチでのバックアップ要員としてより、近い将来をにらみ、ファームで実戦機会を増やすという育成方針で、ファームに再降格するなど、入れ代わり立ち代わり現れるその顔ぶれもバラエティーに富んでいる。
繰り返しになるが、柳田不在の6月1ヵ月間だけで、貯金を12も積み上げたのだ。その強固な戦力の下支えは、間違いなく「4軍制」という分厚い選手層にある。
その4軍を今季から、斉藤和巳が率いている。
沢村賞2度、最多勝2度、日本一の2003年にはシーズン16連勝をマークしての20勝。まさしくホークスの黄金期を支えた大エースだ。
指導者1年目の2023年は、1軍投手コーチだった。「勝利」をひたすら追求するトップチームから一転、今度は4軍制の中では最も“下”のカテゴリーを統括する立場に変わった。
主眼は、当然ながら「育成」になる。
結果が欲しい、という選手ばかり
この日の大分戦。4回に先制を許したシーンは、守備のミスからだった。先発の2年目右腕、19歳の岡植純平は、3回まで1安打無失点と順調な立ち上がりを見せた。
4回、1死から四球を許したが、次打者は二ゴロ。ダブルプレーかと思いきや、セカンド桑原秀侍の二塁への送球が緩く、野選となってセーフ。一、二塁とピンチが拡大すると、ここで中前タイムリーを許してしまう。
さらに、センターからの返球をショートが落球。走者の進塁こそなかったものの、この1死一塁から続く打者への初球に岡植が暴投。再び得点圏に走者を背負ってしまった。
この回、1失点にはとどめたものの、ミスの連鎖が止まらなかった。チーム全体が浮足立ってしまっているのだ。ここは食い止めよう、踏ん張ろうという思いが空回りしたのか、気持ちの切り替えもうまくできないまま、全員が悪い流れの中に飲み込まれてしまっている。
斉藤は三塁側ベンチから、その“迷える選手たち”の姿をじっと見守っていた。
「そんな簡単に(課題が)つぶれるとは思っていないですし、同じようなミスが何回もありますよ。そこで本人たちがどうするか。こっちはある程度、指摘はします。でも、上(支配下、1、2軍の意)に行きたいなら、そういう細かいミスというところもなくしていかないといけない。あとは練習しかない。基本的に打者は打たないといけないし、ピッチャーは抑えないと、彼らも上に上がれない。結果が欲しい、という選手ばかりですからね」
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