ソフトバンク、年間100勝ペースで独走中!「4軍」で“歴史的快進撃”を支える“恐るべき下地”を目撃した!

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現在の記録は南海の「99勝」

 ソフトバンクが、驚異的な強さを見せ続けている。

 6月30日時点で今季71試合が終了し、シーズン143試合のちょうど折り返し地点を迎えた。交流戦が組み込まれていた6月を17勝5敗1分けで乗り切り、貯金28。2位ロッテとのゲーム差も11.5にまで開き、4年ぶりのV奪回へ向け、独走状態に入っている。

 勝率.706はシーズンに換算すれば101勝ペース。143試合制の今季は、勝率7割以上なら、この大台に乗ることになる。長い球史の中で、この「年間100勝」を達成した球団は存在せず、ソフトバンクの前身・南海が1955年に同じ143試合制で「99勝」を挙げたのが、ここまで長きにわたって維持されているプロ野球記録でもある。

 この歴史的ともいえる快進撃を支える“下地”を、改めて確かめてみたいと思った。

 福岡の本拠地、みずほPayPayドームで東京ヤクルトとの交流戦が行われていた6月11日夜、私は大分・別大興産スタジアムへ足を運んだ。

 ソフトバンクの4軍が、独立リーグの九州アジアリーグに所属する大分B-リングスとのナイターに臨んでいた。1軍より30分早い午後5時半のプレーボールだが、トップチームが試合を行っているほぼ同時刻、並行する形で育成ゲームが行われる。そのコントラストも興味深かったというのが、今回視察する動機の一つでもあった。

“育成1期生”には千賀滉大、牧原大成、甲斐拓也

「4軍制」という、他の11球団には類を見ない巨大な育成システムをソフトバンクが本格稼働させたのは、2023年のことだった。

 2011年から3軍制を敷き、その“育成1期生”ともいえる2010年育成ドラフト4位・千賀滉大、同5位・牧原大成、同6位・甲斐拓也が、ソフトバンクを、そして日本を代表するプレーヤーへと成長し、千賀にいたっては、メジャーのニューヨーク・メッツへ2023年にFA移籍。世界レベルのピッチャーへと駆け上がっていた。

 この3人をはじめ、同じく育成入団の石川柊太、周東佑京ら、3軍制のもとで一流への道を辿っていたプレーヤーを確実に生み出している。

 支配下、育成合わせて、119人態勢でスタートした2024年も、キャンプインの2月1日の時点で、支配下選手枠の上限70人を8人余らせての62人でスタート。育成選手たちの競争意識を掻き立て、まず開幕前に川村友斗、仲田慶介、緒方理貢の野手3人を支配下登録し、開幕1軍のメンバーに入れた。

 この“育成三銃士”に続き、柳田悠岐が右太もも裏に全治4カ月の怪我で長期離脱を余儀なくされた6月1日には、2019年ドラフト1位で、今季から育成契約に切り替わっていた外野手の佐藤直樹を支配下登録。

 過去4年間で114試合、9安打しか打てなかった25歳は、今季のウエスタン・リーグで打率.340と結果を残した上での“再昇格”で、6月1ヵ月間で“過去4年分”に相当する9安打をマークする活躍を見せた。

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