『黄昏流星群』コンビニ版で新たな読者を開拓…弘兼憲史 成人誌が店頭から消え困ったワケは

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深夜に及ぶ漫画制作を影で支えるコンビニ

弘兼:コンビニって、数としては今どれくらいあるんですか?

渡辺:全国に約5万8,000店舗ですね。人口減少で街中にあるコンビニの店舗数は微減していますが、駅や病院などの売店がコンビニ化していて、大きく変わっていないという状況です。

弘兼:以前、福島第二原発を取材したとき、そこで働いている東京電力の人たちが使うコンビニの売上が、全国でもトップクラスという話を聞いたことがあります。

渡辺:閉鎖商圏・マイクロ商圏と言うんですが、外へ買い物しにくい立地にある店舗はやはり確実に売上が取れるんですね。

弘兼:ちょっと思ったんですけど、僕がコンビニで一番よく利用するのは税金などの支払いかもしれません。13時ぐらいに仕事場へ入って深夜2時ぐらいまで、休憩を挟みつつ仕事することが多いので、便利なんです。この間も車検の関係で18万円くらいコンビニに収納しました。そう考えると、月10回以上はコンビニ使っています。コンビニ男です。

渡辺:深夜に営業しているお店って今はコンビニくらいですもんね。

弘兼:昔は夜に若者がコンビニの前でたむろする光景もありましたが、僕の自宅の近くのコンビニは灰皿があって、夜中はタクシー運転手さんとかがよく一服しています。喫煙者はみんなコンビニをよく使っていますよね。

渡辺:コンビニの売上の約1/4はタバコで、「吸えるから」ということでコンビニに来られる方はけっこういます。ただ、タバコの灰皿を置いてある店舗もだいぶ減ってきています。

弘兼:近所からクレームつけられちゃうんですか。

渡辺:コンビニオーナーもそんな潤沢に儲かる商売ではないし、灰皿を置くほうがお店の売上にはつながるので、本音では灰皿やタバコを置きたいお店も少なくないはずですが、板挟みですね。

弘兼:喫煙者でなくても夜道を歩いて明かりが24時間ついているコンビニは、やっぱりほっとできる安心感はありますね。東京は街灯とかいっぱいあるけど、田舎は本当にコンビニの光だけが頼りの時がありますから。

渡辺:いまは外国人留学生が働いてくれていますが、経済の停滞と、1億2,800万人強しか話者のいない日本語を学ぶメリットも薄いので、働いてくれる外国人は減っていくでしょう。日本国内も、少子化でコンビニでバイトする若者が減っています。今後の日本では、海外に先んじてセルフレジ活用が進み、生体認証決済などの技術革新が投じられて、コンビニの無人店舗化が進みそうです。24時間、生身の人間が接客するコンビニって10年後はあまりないかもしれません。

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