52kg級の阿部詩が「私の人生そのもの」と挙げた意外すぎる曲は…代表3選手の意気込み【五輪柔道女子】
シードに入るよりコンディションを優先
東京五輪後に両肩の手術を受けたものの、国内と海外で無敗だ。しかし、昨秋の国際大会を欠場したことなどで国際柔道連盟(IJF)の最新ランキングは9位となり、パリ五輪でのシード権(8位まで)を逃した。本人はこの結果に対して冷静だ。
「52kg級はすごい(ランキング入りするための)ポイントが高かった。シードに入るより、コンディション面を優先して。(ランクを上げるため)試合に出ることだけがプラスなのかと言われれば、そうではないと思うので」
トーナメントでの優勝を期待された選手が、次を考えてしまって足をすくわれることもある。口では「目の前の一戦」と言っても、「これに勝てば」を意識してしまうのが人間だ。阿部詩にはそれがない。
「次の試合のことは考えないで試合しています」
練習拠点の母校・日本体育大学や仙台大で最終調整後に渡仏する。「3歩進んで2歩下がる」。勢いと冷静さを併せ持つ阿部は、フランス革命記念日の7月14日に24歳を迎える。
高市未来(63kg級)
東京・八王子市出身の高市未来(みく)はリオ五輪から3度目の五輪代表だが、表彰台はまだない。旧姓は田代。30歳となり新たな姓でパリの畳に上がる。東京五輪では、6人の女子代表中5人がメダルを取った(金4、銀1)中、1人だけ「蚊帳の外」のようになっていた。その悔しさ、寂しさを静かな闘志に秘めてきた。
2年前に同じコマツ柔道部に所属する高市賢悟(男子66kg級)と結婚した。練習後の会見では盛んに夫の“内助の功”を訊かれたが「現役同士、わかってくれます」とほほ笑んだ。元世界選手権代表の夫は現在も現役だが、パリ五輪では台湾チームのコーチとして臨むという。普段からすれ違いも多い生活だ。
「今回は来日期間が長いらしいので頼んで会います。でも最近は手紙を書かなくなってしまったんです。反省してます」
左組の高市は担ぎ技(背負い投げや袖釣り込み腰など)をあまり見せないが、内またや大内刈り、小内刈りが武器。寝技でも「足三角締め」などの高等テクニックを持つオールラウンダーである。
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