「NewJeans」と「松田聖子」が結びついた衝撃 「青い珊瑚礁」を見事に再現した「完璧で究極」なアイドル

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日本のクリエーターとの協業

 ただ、韓国の当時の音楽シーンでもDEUX「夏の中で」(1994年)、S.E.S.「I'm Your Girl」(98年)などのほか、近年もBTOB、NCT DREAM、TWICE、SF9、TOMORROW×TOGETHERらによってニュージャックスウィングジャンルの楽曲は次々と発表されている。NewJeansの「Supernatural」は当時の日本からの影響だけではなく、米国カルチャーを長年応用・研究してきたK-POPの歴史の上に築かれている楽曲といえる。

 この「Supernatural」についてNewJeansの事務所は、米著名プロデューサーで歌手のファレル・ウィリアムズが日本の歌手マナミ(Manami)と合作した「Back Of My Mind feat. Pharrell」をサンプリングしたと出典を明らかにしている。ファレルは音楽の他にファッションリーダーとしても活動中で、2023年には「ルイ・ヴィトン」のメンズクリエイティブディレクターに就任。NewJeans最年少メンバーのへインも、当時14歳で同ブランドのアンバサダーに抜擢されている。

 また、メンバーのミンジ(MINJI)はステージで日本のシンガー・ソングライターVaundyの「踊り子」をカバーしたが、このミュージックビデオ(MV)に登場している小松菜奈とミンジは「シャネル」のアンバサダーを務めているところも何かの伏線かもしれない。

 NewJeansの日本デビューでは日本国内屈指のクリエーターとの協業も実現した。「Supernatural」収録曲の「Right Now」では、国内を代表するポップアーティストの村上隆とコラボし、メンバーのキャラクターやLINEスタンプを発表。また、ファッション・カルチャープロデューサーの藤原ヒロシは、NewJeansのためにTシャツ、バンダナ、帽子、バッグなどをデザインした。日本を代表するアートの巨匠2人に加えて、4人組ロックバンドKing Gnuの新井和輝が、東京ドーム公演のステージにバンドメンバーとして参加していたのも、ミン・ヒジン代表の日本のポップカルチャーに対する審美眼を感じさせる。

 親会社のHYBEと対立しているため、ミン・ヒジン代表の今後は予断を許さない状況だ。国内外の音楽ファンが、NewJeansの東京ドーム公演に駆けつけたのは、「最後になるかもしれない」という不安と焦燥感も大きく作用しただろう。一方でミン・ヒジン代表が繰り出した日本市場攻略の鮮やか過ぎる戦略が、日本のファンを大いに感激させたのも確かだ。“完璧で究極”なプロデュース力がもたらす爆発的なエネルギーをまた目撃してみたいものだ。

 NewJeansは6日放送の日本テレビ系音楽特番「THE MUSIC DAY 2024」(午後3時~同10時54分)に出演しハニが「青い珊瑚礁」、ヘインが「PLASTIC LOVE」を再び披露する予定だ。

烏丸侑李(からすま・ゆり)
メディアコラムニスト。東京大学大学院修士課程修了(文学修士)、同博士課程単位取得満期退学。専攻は文化人類学、メディア比較論。首都圏の国立大と私立大での講義歴多数。

デイリー新潮編集部

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