「“松井秀喜監督誕生”と築地への本拠地移転を狙う読売」「晴海フラッグは9割引きで投げ売りされた」 東京都と三井不動産の“癒着”、驚愕の裏側とは
「9割引き」という不当に安い価格で投げ売り
その最たる例こそ、東京五輪・パラの選手村を改修した「晴海フラッグ」だ。
「『晴海フラッグ』再開発の大きな問題点は、都有地を近隣基準地価の9割引きという、不当に安い価格で三井不動産などのデベロッパー11社に投げ売りしてしまったことです」
そう語るのは、この問題を追及してきたジャーナリストの岡部裕三氏である。
「具体的には、選手村用の都有地13.4ヘクタールを129億6000万円、近隣基準地価の10分の1以下で売却しており、値引き額は実に約1200億円に上ります。つまり小池都知事はこの再開発を通じて、単純計算でデベロッパー1社あたり100億円以上を値引きしてあげたことになるのです」
この件では、都有地を9割引きで売却したのは不当だとして損害賠償を求める住民訴訟も起こっている。
「談合の疑いがあると主張した」
住民訴訟原告弁護団の千葉恵子弁護士が言う。
「訴訟の中で、今回の件は談合の疑いがあるという主張をしました。なぜなら、晴海の再開発を巡っては、事前に特定の業者から意見を募ったりして、その中で都と事業者がさまざまな協議をしていたからです。事前協議で価格調整が行われた末、129億6000万円という不当に廉価な数字が出てくるのです」
住民訴訟原告団の一部は、公正取引委員会に対して官製談合防止法(入札談合等関与行為防止法)に基づき、改善措置を講じるよう申告してもいる。その申告書の中で官製談合の当事者とされているのが、売却価格の協議が行われた当時の知事の舛添要一氏と、都の都市整備局長だった安井順一氏である。そう、神宮外苑の再開発構想を森喜朗元総理に吹き込んでいた、あの安井氏である。
「再就職にフリガナをふれば『あまくだり』」
三井不動産との“癒着”について東京都に取材を申し込んだところ、以下の回答が寄せられた。
「三井不動産株式会社及び三井不動産レジデンシャル株式会社に再就職した職員は、公表を開始した平成22年度から合計3名です。都市計画や再開発認可などの手続については、法令等に基づき適切に行っており、癒着の事実は一切ございません」
全国市民オンブズマン連絡会議幹事の清水勉弁護士はこう語る。
「三井不動産は都庁OBを利用して都政をコントロールしようとしていると考えるのが当然ですし、癒着の疑念も生じます。都庁が『再就職だ』と言ってみても、何ら天下りの否定にはなっていません。この再就職にフリガナをふれば『あまくだり』ですよ」
岡部氏(前出)も言う。
「小池都知事は石原都政の時からあったデベロッパーとの癒着を引き継いでさらに深めており、それが晴海フラッグなどの問題につながっています。小池都政は過去に敷かれた天下りと癒着のレールをただ進んでいるだけではなく、さらにまきをくべながら勢いを増していっているのです」
「都民ファースト」はかけ声だけ。裏では「デベロッパーファースト」が脈々と続いていたのである。
前編「『都幹部14人が天下り』『三井不動産が儲けられるようにお膳立て』 東京都と同社の“癒着”に、現役都議は『これほど怪しい話はない』」では、神宮外苑の再開発の経緯を振り返りながら、現役都議による「出来レース」との批判を紹介。都政と三井不動産グループの“癒着”疑惑について紹介している。
[3/3ページ]