「都幹部14人が天下り」「三井不動産が儲けられるようにお膳立て」 東京都と同社の“癒着”に、現役都議は「これほど怪しい話はない」
「三井不動産が儲けられるようにお膳立て」
「神宮外苑の再開発計画は、故・石原慎太郎都知事の時代にスタートしています。そして、オリンピック招致に失敗した後、森元総理が石原さんを“もう一度オリンピック招致に挑戦しよう”と説得するあたりから本格化します」
元都庁幹部の澤章氏はそう語る。
「明治神宮外苑は都市公園で風致地区でもあるので元々、いろいろな規制がかかっています。その規制をかけているのが、都の都市整備局です。そこが神宮外苑の規制を取っ払う手続きをして、容積率をバーンと上げて、三井不動産などが高層ビルを建てて儲けられるようにお膳立てをしてきたわけです」
石原元知事がオリンピック招致への再挑戦を表明したのは東日本大震災から4カ月後の2011年7月。翌12年5月、当時の東京都副知事の佐藤広氏と都市整備局幹部の安井順一氏の二人が、議員会館に森元総理を訪ねた時の興味深いやり取りが都の内部記録に残されている。
神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えて建て直すという、まさに今現在進んでいる再開発計画と同じ構想を安井氏が示すと、森元総理は次のように応じたという。
〈素晴らしい案じゃないか。長生きしないと〉
構想を示した安井氏はその後、役人として副知事に次ぐナンバー2の地位「都技監」に昇進している。
都議も「これほど怪しい話はない」
三井不動産などがこの構想に沿う形で再開発に向けた協議を始めたのは13年ごろ。当時の都知事は石原氏の後継の猪瀬直樹氏である。その後、都知事の座は舛添要一氏を経て小池氏に移り、21年12月、都は再開発の詳細な内容を示した都市計画案を公表。翌22年8月には、再開発で建て替えられる新秩父宮ラグビー場を整備、運営する事業者を選ぶ一般競争入札が行われている。
入札に臨んだのは以下の三つの企業グループだ。「楽天、清水建設、TBS」「鹿島建設、三井不動産、東京ドーム」「三菱地所、大成建設、電通」。選ばれたのは、「鹿島建設、三井不動産、東京ドーム」のグループだった。入札価格は清水建設のグループが約226億円、三菱地所のグループが約358億円だったのに対し、三井不動産のグループは1桁少ない約82億円だった。
この再開発の問題点を都議会で追及してきた日本共産党の原田あきら都議が言う。
「そもそも神宮外苑の再開発は、三井不動産が主導している事業です。その企業が、新ラグビー場の整備事業を破格の安値で落札していく。これほど怪しい話はありません」
出来レース。そう批判する声が聞こえてくるのも無理からぬことだが、やはり同様のささやき声が聞こえてくるのが、築地市場跡地の再開発事業「築地地区まちづくり事業」である。
後編「『“松井秀喜監督誕生”と築地への本拠地移転を狙う読売』『晴海フラッグは9割引きで投げ売りされた』 東京都と三井不動産の“癒着”、驚愕の裏側とは」では、「築地地区まちづくり事業」「晴海フラッグ」など三井不動産が再開発を手がける案件について紹介しながら、都政と同社の“癒着”の裏側について徹底取材をしている。
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