NHK中継がある自民党の予算委員会は本当に酷かった…青山繁晴・参院議員がみた「派閥支配の実態」

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気の小さい森氏

「還流は森氏が森派の会長を務めていた時期から始まった」という指摘にも、青山氏は首を傾げる。ちなみに森氏は2回、自民党の幹事長を務めており、1回目は1993年から95年までの間だ。この1回目の時、記者だった青山氏は“幹事長番”を務めたことがあるという。

「番記者としてのぼくが見た森さんは、気の大きくない人でした。森さんに対する有名な悪口で『ノミの心臓、サメの脳みそ』というものがありますが、サメのほうはともかく、ノミの心臓は、これもただの雑言ではあるけれど、少し分かりますね。そういう政治家は、新しいことはやらないものです。裏金事件が明るみにした“派閥とカネ”の問題はもっと根が深いはずだし、森さんよりも古い時代に始まったのではないかと考えています」

 現在の派閥の根本原理は、配下の政治家からカネを吸い上げ、カネとポストを分配することだ。その観点から見ると、裏金事件で派閥がパーティー券の収益を吸い上げ、ノルマ超過分を配下の政治家に還流=キックバックしたことは、派閥にとってはある意味で当然の行動だと言える。

 しかしながら青山氏は、還流分を意図的に裏金に化けさせたことに強い疑問があるという。

必要なのは派閥の解散

「なぜ、わざわざ『政治資金収支報告書に記載するな』という指示を出したのでしょうか。実際、ぼくは多くの安倍派の人たちに聞きましたが、誰もがそう指示されていました。『記載の必要がありますよね?』と問い合わせた議員には、事務方が『記載してはいけない』と答えています。収支報告書に記載するとカネの使い道を明らかにしなければなりません。そうしないで済むカネ、つまり裏金を作らせたかったのでしょうが、これは事務方の発想ではありません。政治家が『記載しない』と決めたのは明らかです。そもそも派閥を作ろうと思うのは政治家の野心です。となると、裏金事件を根っこから解決するのなら、派閥の完全解消が不可欠だということが明白になります」

 麻生派は解散しないと明言した一方、安倍派は解散を前提に2月1日に最後の議員総会を開いた。ところが依然として多くのメディアは安倍派の動向を報じている。派閥解消はお題目に過ぎず、実質的には存続しているようにも見える。

「自分の味方になってくれる麻生派だけ残すというのは、岸田総理の間違いの中でも大きな間違いだと考えます。ぼくは政治刷新本部に出席した際、岸田総理の目を見ながら『総理の仰るべきは宏池会の解散ではありません。そもそも、総理は宏池会の会長を辞任されています。会社を辞めた元社長が会社の解散を指示するのと同じで、不当です。総理総裁が仰るべきは全派閥の解散です』と問いましたが、お答えはありませんでした」

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