NHK中継がある自民党の予算委員会は本当に酷かった…青山繁晴・参院議員がみた「派閥支配の実態」
岸田首相の矛盾
岸田首相の発言は一応、「あったなら」と仮定形が使われている。とはいえ、こうした発言が飛び出すこと自体、首相が「国会議員は特権意識を持っている」と考えていることを浮き彫りにする。
「国会議員は、与野党を問わず、自分たちが特権階級という感覚がある。自由民主党は結党からの69年間のうち実に65年ほども政権を握ってきた。そのために、特権意識が肥大化し、私的な団体である派閥にカネやポストに海外出張の機会、さらに肝心の国会質問まで差配を任せていたわけです。もし民間会社で派閥が給与も人事も出張も営業も何もかもコントロールしていたら、もはや会社とは呼べませんね」
岸田首相は政治資金規正法の改正案が可決、成立したことを受け、「再発防止や透明性の向上の観点から実効性のある制度となった。大きな一歩だ」と自画自賛した。
「岸田総理が本気で“政治とカネ”の問題を解決しようとするなら、派閥を根っこから解消することは不可欠です。しかし総理は最も手強い安倍派と二階派は解体しましたが、協力してくれる麻生派はそのままです。派閥解消も私利私欲、総理の座を守ることしか考えていないと批判されても仕方ないですね」
今回の裏金事件では派閥が舞台となったため、清和会のトップを務めた安倍晋三氏や森喜朗氏の“関与”も取り沙汰された。
例えば安倍氏の場合、2022年4月の会合で還流=キックバックが現金で行われていることに懸念を示し、「不透明で疑念を生じかねないからやめよう」と指示したとも報じられている。
安倍氏の関与
森氏の場合、4月4日に岸田首相が電話で“事情聴取”を行っている。この結果について岸田首相は森氏が還流に関与した「事実は確認されなかった」と記者団に答えた。
月刊誌「文藝春秋」が掲載した森氏のインタビュー記事でも、「還流は1998年12月以降の森会長時代に始まった」との指摘に対し、ご本人が「私を陥れるための作り話だ」と反論している。
「ぼくは1952年の7月生まれ、安倍さんは1954年9月の生まれで、ほぼ同世代という意識が互いにありました。最初に互いに意識したのは、ぼくが共同通信の記者で、お父さんの安倍晋太郎さんの総裁選出馬の取材に行った時です。ぼくは若くて、かつ、いわゆる派閥記者とは違う姿勢でしたから、年の近い若き日の安倍さんはいくらか関心を持ったようです。そこからゆっくり進行して、表には出ない親友となりましたが、本当に話をする機会が増えたのは安倍さんが再登板後の総理で、ぼくが議員になってからです。夜中に電話をかけてきて、安倍さんは胸のうちを語りました。それだけ何度も話をしても、パーティー券の収益の一部の還流なんて話題になったことは皆無です。ぼくが安倍派にもどこの派閥にも属さないということが影響して話題にしなかったのかもしれない。しっかり取材したという元記者もおられますし、証言した国会議員もいるようですから、これ以上は指摘しませんが、ぼくは『安倍さんが還流を止めようと言った』という報道がそのまま事実だとは思っていません」
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