岸田首相の発言には椅子から転げ落ちるほど驚いた…青山繁晴・参院議員が語る「裏金」と「特権意識」の問題点

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ポスターの問題点

 自分たちは特権階級だ。だからパーティー券でノルマ以上の収益を上げれば還流され、政治資金収支報告書に記載しなくても許される──これが国会議員の本音であり、それは国会議員の日常的な行動に滲み出ているという。

「献金を、ぼくは個人からも企業からも1円も受け取りません。派閥は菅義偉さんの『ガネーシャの会』のような準派閥を含め、決して加わりません。ですから派閥のパーティーとは無縁、個人のパーティーも開きません。団体支援の申し入れはお断りし、後援会もつくらず後援会長も置かず地元もつくりません。ぼくのこうしたやり方は一つの新モデルであり、他の議員に求めることはない。一方で孤立もしません。ぼくが代表の、派閥ならざる新しい議員集団、護る会(日本の尊厳と国益を護る会)は100人です。ただ、例えばぼくと他の議員では事務所の使い方も異なります。その違いは、国会議員の特権意識と密接な関係があると考えています」

 多くの国会議員は議員会館の事務所に自身のポスターと、選挙区の名産品や観光地を紹介するポスターを貼っている。ところが青山氏の事務所にポスターは1枚も貼られていない。

「ぼくは選挙の公示後にポスターを1枚、作るだけです。公示にならないと選挙活動をしないのでポスターはないのです。参議院の全国区選出の意味を重視して地元をつくらないので名産品や観光地のポスターを貼る必要もありません。税金で議員会館は運営されていますから、ぼくの事務所は国民から借りているのです。もしアパートにポスターを貼ったら、退居の際は、敷金で原状復帰が求められます。ところが議員会館は引っ越しの際、公費でリフォームを行います。ポスターを何年も貼っていると跡が残りますが、それは税金を使って壁を張り直すのです。国会議員が私費で払いたいと言っても拒否されます。そのためぼくはポスターを貼りません」

 普通の国会議員は、事務所のリフォーム費用を公費で負担してもらっても疑問に感じない。これでは特権意識を持っていると指摘されても仕方ないだろう。

代表ではなく代理人

 青山氏は参議院の経済産業委員会に所属している。議論では経済の専門用語が飛び交うことも珍しくない。青山氏は、中学生や高校生が聞いても分かる議論にしようと努めているが、他の議員にはほとんどみられない。ここにも国会議員の特権意識の淵源が感じられるという。政府と専門用語を使って議論するうちに、特別な仕事をしているという気持ちが無意識に生じるのではないかということだ。

「国会議員が特権階級などとんでもない話で、本来は前述のように国民のために犠牲になる覚悟のある者でなければならない。裏金事件が浮き彫りにした国会議員の特権意識という問題は非常に根が深い。なぜなら憲法の前文に《権力は国民の代表者がこれを行使》とあります。第43条にも《全国民を代表する選挙された議員》とありますが、これは国会議員は地元だけではなく全国民の立場で行動すべきという趣旨です。いずれにせよ、代表という言葉が憲法に何度も出てきます。やはり憲法は根こそぎ改憲する必要があると考えます。『代表』と書かれていれば特権意識が生まれてしまう。本来は『代理人』と書くべきです」

 日本で選挙が行われ、議員が選ばれるのは直接民主制が難しいからだ。極端な話、日本国民1億2300万人が国会議事堂に集合すると、全く収拾がつかないのは言うまでもない。

「有権者の『代理人』として国会議員は選挙で選ばれるのです。代理人ですから目線は有権者と同じです。特権意識など持ちません。裏金事件が明らかにした“政治とカネの問題”も議員の特権意識が背景にあります。深刻で重大な問題ではありますが、抜本的に悪弊を改めるチャンスが到来したとも言えます」

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