「約10億円の資産を持っていかれ…」 ダイソーが「会社乗っ取りトラブル」で訴えられていた

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先代の飾らない人柄

 一方の大創産業側の言い分も聞くべく、質問状を送ったが、

「コメントは差し控えさせていただきます」

 とのことだった。

「先代の社長はいわゆるたたき上げで、事業に失敗し、転職を繰り返し、夜逃げも経験するなど、100円ショップで成功を収めるまで辛酸を嘗めてきました。取材に行くと故郷の広島弁でダジャレを連発する。経営哲学を聞いても“そんなもの、ありゃせんよ”と言いますし、食事に行きましょうと言われてどんな高級店かと思ったら、ラーメン屋さんだったことも。その飾らない人柄が魅力のひとつでした」(「財界」主幹の村田博文氏)

 他方、2代目は地元の大手スーパー勤務の後にダイソー入りし、3年でトップの座を譲られた。

 こうしたキャリアの違いが、深刻なトラブルを招いたのかもしれない。

「足の悪い私でも履ける靴を…」

 前社長も振り返る。

「博丈さんと最後に会ったのは昨年。“お前の足、何文(もん)だ?”と聞かれて、後日、足の悪い私でも履ける靴を贈ってくださいました。トラブルの件も相談しようとしたけどその時はできなかった」

 争いの是非の判断は今後、法廷に委ねられる。

 事と次第によっては、ダイソーにとって決して“安くない”事案となるかもしれないが、さてその結末は。

 前編「『車やゴルフの会員権はどうでもいいけど、会社は返してほしい…』 ダイソーを訴えた『大創出版』前社長が『会社乗っ取りトラブル』を告発」では、訴訟のきっかけとなったダイソー社長の「激高事件」について報じている。

週刊新潮 2024年7月4日号掲載

特集「『100円辞書』の生みの親が怒りの提訴 “100円の覇者”『ダイソー』社長2代目の20億円『会社乗っ取り』トラブル」より

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