「約10億円の資産を持っていかれ…」 ダイソーが「会社乗っ取りトラブル」で訴えられていた

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「約10億円の資産が向こう側に…」

「100円均一ショップ」という業態を開拓し、その覇者となった「ダイソー」。栄光を一代で築き上げた名物創業社長は2月に亡くなったが、折も折、同社が縁の深い関係者に「会社乗っ取り」トラブルで訴えられていた。訴訟の中で原告は、「2代目社長」の横暴を告発し……。【前後編の後編】

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 前編「『車やゴルフの会員権はどうでもいいけど、会社は返してほしい…』 ダイソーを訴えた『大創出版』前社長が『会社乗っ取りトラブル』を告発」では、ダイソーと関係の深い出版社「大創出版」の前社長が、ダイソーの2代目社長とトラブルになり、所有していた三法人をダイソー側に渡すことになった件について報じた。

 それぞれの法人には、多額の財産があったという。

「大創出版の下請けの創美出版は毎月50万円の収入があるコインパーキングに加え、ゴルフ会員権と車のレクサスを、不動産管理のための法人の創成舎は5億5000万円で購入したビルを持っていました。加入していた保険も含めれば10億円の資産があったと思いますが、それも向こう側に渡ってしまいました」

 こうして実質、すべてを失った前社長に対し、昨年11月、ダイソー側から、合意書にあった創成舎の基金返還請求権の譲渡を履行せよとの要求が来た。

 到底承服できないと、前社長はこの4月、大創産業と大創出版を相手取り、合意書の無効を争うべく訴訟を起こしたというわけなのだ。

「あまりにも乱暴」

 以上が事件のあらましである。

「ダイソーほどの大企業にしては、非常に乱暴なやり方だと思っています」

 と言うのは、原告の代理人弁護士だ。

「原告に損害賠償請求するのであれば、ダイソー側はまず、利益相反による損害が存在し、それがいくらなのかということを立証しなければいけない。しかし、合意書にはそれが一切ない。そうした手続きをすっ飛ばして“けしからんから全部よこせ”と言っているに等しいのです。確かに自身の会社に業務を発注していたのは事実ですが、他の第三者に発注していた場合と比べて利益が減じたという証拠もない。訴訟の前段階でのやり取りの中で、大創産業側は初めて損害額を約20億円以上と主張したのですが、それも根拠が示されていないのです」

 また、

「仮に原告が損害賠償義務を負うにしても、株の譲渡をする必要性がどこにあるのか。さらには、原告の行為に落ち度があったとしても、大創出版の取締役には創業者の矢野博丈さんをはじめ、ダイソーのメンバーも入っていたわけです。その取締役にも監視義務があるわけですから、彼らに損害賠償請求をしないで、原告側に対してだけというのは筋が通らない」

 何より、

「これだけの巨額の財産に関わる案件なのに、弁護士などに相談させる間も与えず合意書にはんこを押させるというのはあまりに乱暴です。全体的に2代目社長の怒りにまかせた言動という印象を受ける。いまだワンマン企業のままなのかなと思います」

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