「車やゴルフの会員権はどうでもいいけど、会社は返してほしい…」 ダイソーを訴えた「大創出版」前社長が「会社乗っ取りトラブル」を告発

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「“社長が怒ってるよ、速く速く”と言いながら勝手にはんこを」

 激高した2代目は、机をバーンとたたくと、前社長に向けて紙を投げつけてきた。

「それは大創が作った『合意書』で、向こうの社員が中身を読み上げました。そこには、私が持っている大創出版の株を同社に無償で譲渡せよ、などとある。いきなりのことですし、弁護士や税理士に相談しないと“はい”とは言えないので“弁護士に相談したい”と言ったのですが、社長は“何言ってるんだ! 速くしろ”と取り付く島もない。横にいた息子がビックリしてしまって“社長が怒ってるよ、速く速く”と言いながら勝手にはんこを押してしまった。到底、納得できませんでしたが、その場を収めるには仕方ないと思い、署名し、とにかく頭を下げました」

三法人ともダイソー側に

 合意書には、前述の内容の他に、創美出版の株を大創出版に譲渡せよ、とも記されていた。

「また、私が設立した創成舎という不動産管理のための法人についても、基金返還請求権を大創出版に譲渡せよ、と。つまり、創成舎を大創出版に渡せということです。そして、この2点の譲渡価格については、私が長年、利益相反取引によって大創出版に損害を与えたのでそれと相殺するとありました」

 すなわち、

「大創出版、創美出版、創成舎について、私が持っているすべてをダイソー側にただで渡せということです」

 なかなか強硬な要求であるが、はんこは押されてしまった。合意書作成の半年前に前社長は大創出版の代表を外れていたが、

「創美と創成舎の代表も外れることになりました。その後、大創出版と創成舎は2代目自身が、創美は大創産業の幹部が代表になりました」

 こうして三法人ともダイソー側に持っていかれてしまったというわけだ。

 後編「『約10億円の資産を持っていかれ…』 ダイソーが『会社乗っ取りトラブル』で訴えられていた」では、「大創出版」の前社長とダイソー側の金銭トラブルの詳細について報じている。

週刊新潮 2024年7月4日号掲載

特集「『100円辞書』の生みの親が怒りの提訴 “百均の覇者”『ダイソー』二代目社長の20億円『会社乗っ取り』トラブル」より

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