「健康診断の結果に異変が…」「自治体から“水を飲まないでください”」全国で検出エリア拡大中「PFAS」汚染現場で上がる驚きの声とは

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 全国各地で“永遠の化学物質”とも呼ばれる「PFAS(ピーファス)」の検出が相次いでいる。政府の対策も後手に回っている中、東京都内も含む“汚染現場”からは、驚きの声が聞こえてきた。PFASをめぐって今、いったい何が起こっているのか。(以下は「週刊新潮」2024年7月4日号掲載の内容です)

国が実態調査を指示

 世界でトップクラスの安全性を誇る日本の水が、今や危機に瀕している。

 元凶はPFAS。約1万種あるとされる有機フッ素化合物の総称だが、もともと自然界には存在せず、分解されにくいため、「永遠の化学物質」とも呼ばれている。恐ろしいのは、水などを介して人体に取り込まれると、臓器などに蓄積されてしまうことだ。

 目下、これらの化学物質が、全国各地の河川や地下水などの「水源地」で相次いで検出されている。しかも、国の定める暫定目標値よりも、はるかに高い濃度で残留しているというのである。

 ようやく政府も本腰を入れて対策に動き出し、6月20日には内閣府食品安全委員会の作業部会が、PFASにおける健康への影響について、国として初となる評価書の案を取りまとめた。同書では「動物実験によって出生児に低体重などの影響が認められる」とした上で、関係省庁に対して水道水におけるPFAS濃度の基準値策定を求めている。

 同時期には、政府が全国規模では初の水道水におけるPFASの実態調査を、5月から始めていたことも報じられた。今秋をめどに、全国の自治体や水道事業者に対して回答するよう一斉に指示を出したという。

“水を飲まないでください”

 国の一斉調査が進んでいけば、“ホットスポット”は増える可能性が高い。だが、すでに汚染の現場となっているエリアからは、驚きの声が聞こえてきている。

 PFAS汚染で町民たちがパニック状態に陥ったのは岡山県吉備中央町である。

 昨年10月、町内にある円城浄水場で、国の暫定的な目標値の最大28倍となるPFASが検出され、この浄水場から水の供給を受けていた地区に対して、給水制限が行われたのである。

「円城浄水場PFAS問題有志の会」代表を務める小倉博司さん(71)が言う。

「町内放送で“水を飲まないでください”などとアナウンスが流れるものだから、何事かと思いましたね。すぐ役場へ電話をしたら『保健所から給水を止めるよう指導があった』と言われて、公民館に給水所を設置したから来るようにと。役場の人がペットボトル入りの水を配っていましたが、住民たちは“いったい何が起こったんだ”と蜂の巣をつついたような騒ぎでしたね。翌日から給水車や1トンくらいの大きなタンクが届いて、そこから各自ペットボトルに水を注ぎ足す形になりました」

 人口1万人強の吉備中央町には3カ所の浄水場があり、高濃度のPFASが検出された円城浄水場を利用していた住民は、約500世帯1000人だった。

「町の体育館で役場主催の住民説明会がありましたが、水道水は口にしてはいけないと言われまして。飲むことはもちろん、料理にも使ってはダメ。歯磨きやうがいもダメ、煮沸してもダメ、お風呂なら多分いいかなという話だったんですが、これから大変なことになるなと思いましたね」(同)

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