「小池都知事は天下りを黙認、利用してきた」 元側近が外郭団体社長に就任…「誰もが疑問に思う人事」
「都が自分たちで直にやればいい」
小池氏周辺にくすぶる「疑惑」は野田氏のケースだけではない。
「ヤフージャパン」の社長、会長を務めた後、19年に東京都の副知事に就任した宮坂学氏(56)。小池氏に抜てきされ、都政のDX化を担当している人物である。
「宮坂さんは23年に新たに設立された外郭団体、一般財団法人『GovTech東京』の理事長にも就任しています」
と、先の上田都議は言う。
「DXの取り組みなんて、別に外郭団体を立ち上げるのではなく、都が自分たちで直にやればいいのです。『GovTech東京』を挟むことで、議会のチェックができなくなりますし、団体人件費や施設維持費など諸経費のコストが別途発生するわけです。それを負担するのは他ならぬ都民なのです」
先の澤氏もこう話す。
「『GovTech東京』は宮坂さんが副知事を辞めた後に仕事をする場所として新たに設立したように見えます。『GovTech東京』という名前からして意味がよく分からないし、何をしているのかもいまいち伝わってきません」
本人に取材すると…
宮坂氏について東京都に取材を申し込んだところ、以下の回答が寄せられた。
「GovTech東京は、これまで推進してきたデジタル化の歩みを加速し、区市町村を含めた東京全体のDX実現へとさらにステージを引き上げるため、昨年7月に設立しました。GovTech東京の理事長には、グローバルな視座と質の高いサービスを生み出す能力・実績、さらに行政の仕組みを理解し、区市町村と協働できる手腕が求められることから、法に基づく手続きを経て、宮坂副知事がGovTech東京理事長に選任されています」
宮坂氏がデジタルに通じているのは間違いないとはいえ、新たに「GovTech東京」という外郭団体を設立する必要があったのかどうか。甚だ疑問と言わざるを得ない。
後編「『一日中ボケッとしていても報酬は1500万円だった』 東京都の『天下り天国』を経験者が明かす」では、報酬が1500万円を超える「副知事」の天下り先の詳細や、実際に天下りをしている東京都OBらの“弁明”などと併せて詳しく報じている。
[3/3ページ]