「小池都知事は天下りを黙認、利用してきた」 元側近が外郭団体社長に就任…「誰もが疑問に思う人事」
外郭団体の社長の座を用意
権力を維持することにあくなき執念を燃やす彼女らしい考え方ではある。しかし、彼女のごく身近な人物の処遇に、天下りの慣習が“利用”されていたとしたらどうだろうか。その人物とは、小池氏の元特別秘書で、地域政党「都民ファーストの会」の代表を務めたこともある野田数(かずさ)氏(50)。
「小池さんは天下りを黙認し、場合によっては利用してきたわけですが、野田さんの件はその象徴的な例と言っていいでしょう」
と、先の澤氏。
「野田さんは小池さんが知事になった当初から右腕として支えていた方ですが、途中から関係がぎくしゃくするようになったといわれています。そして19年に東京都の外郭団体の一つである『東京水道サービス株式会社』(当時)の社長に就任するのです。仲違いした野田さんを放逐してしまうと何を言われるか分からないので外郭団体の社長の座を用意したのではないか、とささやかれていました」
「誰もが疑問に思う人事」
東京都幹部の天下り先となる外郭団体には、政策連携団体と事業協力団体がある。都政との関連性が高いのが前者で、「東京水道」もこちらに含まれる。
「『東京水道』は株式会社ではあるのですが、実態としては東京都の水道局丸抱えの外郭団体です。水道局の下請けとして、『東京水道』が水道メーターの検針作業とか、水道管に関係する作業などをやっています。しかし『東京水道』が全ての作業をやるわけではなく、そこからさらに下請けの事業者に作業を下ろしています」(同)
「東京水道」社長の座はこれまで、東京都の水道局長が定年退職した後に天下るポストだった。
「小池さんはそういう経緯を差し置いて、自分の子飼いの、政治的に任用していた人をあてがった。水道事業の経験がない野田さんが『東京水道』の社長に天下るなんて、誰もが疑問に思う人事です。小池さんの命を受けた副知事や総務局長が野田さんでもできそうなポストを探し、『東京水道』社長という案を提示したのでしょう」(同)
当の野田氏に聞くと、
「オレ、天下りって言われてんの? いやいや、ごめんなさい。そんな話、聞いたことないから」
とした上で自らの“実績”を次のように語る。
「私が社長になってから格段に利益が上がっていますので。職員の処遇改善もね。今までの元水道局長だった人たちはやってこなかったけど、私になって毎年のようにやってるから」
小池氏の思惑通りというべきか、充実した「社長ライフ」を送っているようだ。
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