「ほぼ毎日会って誠意を…」 ピアニスト・江沢茂敏さんが「強すぎる押し」で射止めたバイオリニスト・城戸かれんさんへの熱い思い

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ほぼ毎日合って誠意を伝えた

 茂敏さんは当時、オーストリア留学から一時帰国中。12月に留学先に戻った後も毎日、テレビ電話をしたが、「日に日に僕への関心が薄れていく」と案じ、居ても立ってもいられずに、翌年3月までの滞在予定を繰り上げてクリスマスイヴに緊急帰国、再び愛を伝えた。

 コロナ禍の下、新宿駅から地図アプリなどを見ずに「海へ向かって歩く」という、およそ音楽家の印象と程遠いデートを繰り返した。

「会わない日を探すのが難しいほど」ほぼ毎日会って、彼は「誠意は伝えられた」。彼女も「確かに伝わった」。

 バイオリンの演奏会の多くは伴奏者が不可欠だ。二人で演奏する機会が増え、自然とデュオのような形に。デュオ名は「江沢と城戸だから『江戸』でいいんじゃない? EDOなら海外でも分かる」とはダジャレ好きのかれんさんの発案だ。

プロポーズは新宿駅で

 もはや結婚は既定路線だったが、プロポーズを求めていたかれんさんに「2022年中に」という茂敏さんの当初の宣言は果たせず。「2022年“度”中に」と若干変更して迎えた23年3月14日。日本橋での食事後、茂敏さんは船上プロポーズを予定する。だが船は天王洲から午後9時出航予定なのに、午後8時半を過ぎてもまだデザートの最中――。

 天王洲へ駆け付けるも、船はすでに沖合へ。結局、新宿駅南口近くで「結婚してください」と“ピアニシシモ=極めて弱い”タッチでついに求婚を果たした。

 今年4月8日、二人の姿は東京・銀座の王子ホールにあった。恩師や音楽仲間らを招いた実質的な「結婚披露コンサート」。メインの曲はR・シュトラウスの「バイオリン・ソナタ」。譜めくりで二人を結び付けた日に演奏された曲である。

 二人は「音楽への関心を広げたい」とさまざまな演奏会を企画。“真っ暗闇の中で”“同じ曲を10回”など趣向を凝らす。夫婦のハーモニーは文句なしに絶妙♪

週刊新潮 2024年7月4日号掲載

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