石丸伸二氏 ネット上の動画撮影依頼は誰の仕業か?専門家は「まさかこんなに“アンチ石丸”が多いとは」
石丸氏で利益を得る人々
となると“真犯人”は誰なのか。井上氏は「動画の撮影を発注して利益を得られる人、という観点が重要でしょう」と指摘する。
「石丸氏が安芸高田市長だった頃から、議会の中継など様々な関連動画が切り貼りされ、ダイジェスト版のような形で配信されると、非常に人気を集めました。いずれも再生回数は優に100万回を超えており、そのブームは今も続いています。街頭演説を撮影した人に対し、動画の再生回数に応じて数千円から数万円の報酬を支払っても充分にペイできると思います」
ただし現時点の“証拠”だけでは、「石丸陣営のごく一部が関与した疑い」を完全に消し去ることも難しいという。
「石丸氏本人や、選挙の陣頭指揮を取る責任者が『求人広告で動画撮影者を集め、謝礼として最大数万円を払ってください』と指示するということは、まず考えられません。ただし、“勝手連”という言葉があります。候補者本人とは無関係に支援するグループのことを指しますが、石丸氏を支持する“勝手連的な人々”が暴走してしまい、動画撮影の募集広告をクラウドソーシングに発注してしまった、という可能性は今のところ残ると考えています」(同・井上氏)
学歴と経歴のミスマッチ
都知事選もいよいよ終盤戦となった。“台風の目”として石丸氏に対する関心は増える一方だが、それでも井上氏は「私はネット上に“アンチ石丸”が登場することを予想できませんでした。そのため今の状況には、かなり驚いています」と言う。
「今回の都知事選はテレビを筆頭とする“オールドメディア”をバックに選挙戦を展開する小池さんと蓮舫さんに対し、一丸となったネット民の支持を受けて石丸さんが戦いを挑む、という図式になると思っていました。ところが選挙戦が始まると、石丸さんを支持しないネット民も相当な数に達しており、これは私にとって予想外でした。なぜ石丸さんは“ネット票”をまとめることができなかったのか、これは彼の学歴、職歴が影響を与えたのではないかと思っています」
石丸伸二氏は広島県の安芸高田市出身。広島の県立高校から京都大学の経済学部に進み、三菱東京UFJ銀行に入行した。2014年から為替アナリストとしてニューヨークに駐在し、今回の都知事選では「候補者の中で唯一、経済を知り抜いている」と主張している。
「石丸さんは街頭演説でもご自身の職歴をアピールしていますが、ちょっとやり過ぎたかもしれません。“草の根ネット主義”が初めて生んだ都知事候補としては、少し立派で真面目すぎる経歴がミスマッチを起こしてしまったのではないでしょうか」(同・井上氏)
[2/3ページ]