都知事選で問題視「女性の過激セクシー画像ポスター」には元ネタがあった 大事な部分を文字で隠した男性候補者も

国内 政治

  • ブックマーク

女性の画像を使った候補は過去にも

 以上のように、「大切な部分」を隠しているものの、脱衣した男性の画像を選挙ポスターに使用した事例は比較的最近に確認されていました。一方、今回のように女性の画像を使用した事例は今回の他にあるのでしょうか。

 1980~90年代頃に兵庫県の淡路近辺を中心として、無投票阻止などを掲げて各種選挙に何回も立候補していた影山次郎氏という人がいました。ローカルではあるものの地元の有名人的な存在で、94年の三原町長選(現・南あわじ市)と北淡町長選(現・淡路市)の2つの選挙において、選挙ポスターの一部に脱衣した女性の画像を用いています(なお、ここでも「大切な部分」は巧妙に隠されていたことが確認されています)。

 影山氏はその意味について「町長には女と金がつきものだと言いたかったから」と当時、取材に対して答えています。このポスターは町内各地のポスター掲示場に貼られ、選挙管理委員会に苦情が殺到しました。しかし、このようなポスターを規制するルールがないため、選挙終了まではがすことができませんでした。

 影山氏はこの町長選で、自らが設立した汲み取り会社の免許取得を訴え、バキュームカーを宣伝カー代わりに選挙戦を戦うなど、ポスター以外でも個性的な活動を展開。あえなく落選しています。

選挙終了まで手が出せなかった選管

 影山氏は同年に行われた兵庫県知事選において、「自分の主張に賛同する人はポスターを自由に掲示してほしい」と呼び掛けた候補者Aに接触し、候補者Aの主張と名前を記載したポスターを貼りたいと申し出ています。

 候補者Aは申し出を断ったものの、影山氏は自身とある議員が肩を組んでいる画像と、脱衣した女性の画像を使用して候補者Aの名前を記載したポスターを作成。それを勝手に淡路島や神戸市などに掲示したため、県選管に苦情が寄せられました。

 ポスターには掲示責任者などがきちんと明記され、法的には一応問題のないものだったため、はがすことができない選管は候補者Aに「善処」を依頼しました。しかし、候補者Aは勝手に貼られて迷惑しており撤去したいが、影山氏と連絡がつかないので困っている旨を述べ、世間に騒ぎを引き起こしています。

 以上ように、これらのポスターは大きな問題になったものの、選管が直ちに取り締まることはできず、選挙終了まで手が出せないという状況に陥りました。

次ページ:ポスターの内容は規制できるのか

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。