「あれはファウルだった」 天覧試合で長嶋茂雄にサヨナラホームランをくらった「村山実」が生涯言い続けた言葉の意味(小林信也)
村山実は真っ向勝負に徹した阪神のエース。“ザトペック投法”の異名とともに、「天覧試合のホームラン」が有名だ。ただし村山は劇的な一打を打たれた側だ。
1959年6月25日、後楽園球場で行われた巨人・阪神戦を天皇皇后両陛下が史上初めて観戦された。
4対4の同点で迎えた9回裏、先頭打者・長嶋茂雄が左翼席にサヨナラホームランを打ちこんだ。史上初の天覧試合はあまりにも劇的な結末を迎え、日本中を興奮の渦に巻き込んだ。
「あれから、プロ野球がマイナーからメジャーになった」と長嶋が言い、「陛下が来られたことで、国がプロ野球を“認知”した形となった。...