不倫相手と親戚になりそう… 遠距離浮気を楽しんでいた54歳夫を襲った「SNS時代の悲劇」

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長男の「紹介したい人が」

 今年に入ってから、長男が「おとうさんとおかあさんに紹介したい人がいるんだ」と言いだした。恋人がいるのか、と勇治郞さんはびっくりした。長男に恋人がいるような気配を感じたことはなかった。しかも紹介したいということは結婚まで考えているのだろう。社会人2年目、いくらなんでもまだ結婚は早いだろうと彼は先走った。

「今すぐじゃないよ。でも彼女以外には考えられないから、状況さえ許せばなるべく早く結婚したいと思ってると長男が言うわけです。とりあえず連れてくると言われて、次の週末、待っていました。現れたのは長男と同い年のきれいな女性でしたが、とにかくミチルにそっくりなんです。一目見た瞬間、ミチルが家に押しかけてきたのかと思って卒倒しそうになりました」

 お茶を飲みながら話をし、彼女がミチルさんの娘だと確信した。落ち着かなくてはと思いながら、彼はそのとき何を話したのか、どういう対応をしたのかほとんど覚えていない。

「すぐにミチルに連絡をとりました。すると彼女、『そうなの。私も知らなかったんだけど、うちの娘とあなたの息子さんがつきあっているなんて、びっくりよね』って。知らないはずはないだろうと思いました。次の日は日曜日だったけど、僕はミチルのところに飛んでいきました」

ミチルさんの“狙い”は…

 いったいどういうことなんだと問い詰めると、彼女は勇治郞さんの長男のSNSを調べ上げ、娘にそれとなくけしかけたらしい。長男の勤務先と、ミチルさんの娘の職場が隣のビルだったという接点もあった。

「僕は彼女の娘に会ったこともなかったから知らなかったけど、ミチルと娘は一卵性母娘と自分たちで言ってしまうほど仲良しなんだそうです。だから娘は母親に、こんな男がいるよ、アプローチしてみればと言われて、息子のSNSをフォローし、タイミングを見てコメントをしたんじゃないかな。そこから親しくなっていったんじゃないかと思う。ミチルは娘が勝手にやったことで、縁があっただけと言い張っていますが……」

 ただ、あるときミチルさんがポツリと言った。「どんな縁でもいい、あなたとつながっていたい」と。

「子どもたちがもし結婚したら、僕らは親戚になるわけですよ。そうなったら僕らはどうなるのとミチルに言うと、『かえって会いやすくなるじゃない』って。僕は会いづらくなるような気がするけどと言ったら、そんなことないわよ、会いやすいわよと。でもそんなことが子どもたちにバレたら大変なことになる。どうしてこんな炎上要素をぶっこんでくるのか、ミチルの気持ちがわかりませんでしたが、どんな縁でもいいと言われて、なんだかほだされたような気にもなった」

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