「タイトル戦の2日後にも将棋の研究」 伊藤匠の師匠、父親が明かす“将棋が好きでたまらない”素顔
最終局の2日後に
一方、伊藤の師匠・宮田利男八段は、
「あの二人は将棋が好きでたまらないという感じだよね」
そう話した上で、以下のように語る。
「叡王戦の最終局が木曜日(6月20日)。土曜日ならちょっと落ち着いたかなと思って、伊藤に電話したら出なくて。その日の夜の11時に折り返しがあったので、『何をやっていたんだ』って聞いたら、『将棋指していました』って。『えっ?』ってなりましたね。研究仲間と将棋を指していたそうです。タイトル戦から自宅に戻って、もうそんな感じですよ」
「ほぼ諦めていた」
今回、伊藤の父親にも取材を申し込むと、メールで、
「勝因は分かりません。私自身、これまでの対戦成績からすると、藤井さんに勝てるとは思っていませんでした」
と率直な感想をつづりながら、こう秘話を明かしてくれた。
「(匠が)小学校3年生の冬に藤井さんと(都内で開かれた全国大会で)対局したことはよく覚えています。前年の夏に藤井さんは倉敷王将戦で優勝していました。準決勝で当たると知って、私はほぼ諦めていました。藤井さんが泣き出したのを見て、(初めて)匠が勝ったと知ったのです」
12年前の好敵手が、再び藤井を打ち負かした。これからの“因縁”も楽しみである。
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