酒もタバコも20歳から…でも、「後悔はない」 ステージ4の下咽頭がん、57歳・見栄晴の死生観

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「過去には戻れない」

 ただ、黙ってフェイドアウトするのも違うなと思ったんです。このご時世、3週間も休んだら何か書かれるし……。だから、プロデューサーに「最後の3分間、時間をもらっていいですか」と言いました。そこで、視聴者に自分の言葉で状況を伝えることにしたんです。

 約3カ月間の治療後、幸い、仕事に復帰できました。復帰一発目の収録では、「ライト、っていいな」と思いましたね。自分が25年間座ってきた席に戻ってきて、こんなに照明があたっていたんだと実感しました。少し価値観が変わったのかもしれません。たった、3カ月間しか休んでいないのに、色んなものが 新鮮に見えるようになりました。当たり前のことをできていることが、本当にうれしかったですね。

 耳鼻咽喉 科の先生とのやり取りで覚えていることがあります。治療中、僕が「もっと早く先生に会いに来てればよかったですかね? がんになっていなかったですかね? 違う治し方があったんですかね?」と聞いたんです。先生は黙っていました。1分間くらい言葉を発しない。その時、「過去を振り返っても仕方ないな」と思いました。「もう、自分はがんなんだから、過去には戻れない」と。

 まだ、がんが治ったわけではなく、再発するかもしれないという不安や怖さは常にあります。でも、前を向いて、やるしかないんですよね。

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 第3回では、闘病生活を支えた家族、友人らへの思いを見栄晴が語る。

見栄晴
1966年、東京都生まれ。15歳の時、テレビ番組「欽ちゃんのどこまでやるの!?」で人気に。1998年から、CS放送「競馬予想TV!」でMCを務める。

デイリー新潮編集部

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