「他の鉄道ファンとは比べものにならない」……鉄道マンが頭を抱える「引き起こすトラブルのレベルが違う」ファンの正体

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問題行為を連発、撮り鉄の実態

 ここからは、現役の鉄道会社社員から寄せられた、問題ある撮り鉄の実態を紹介していきたい。既に触れたように、撮影場所の確保のために私有地に立ち入ることを、撮り鉄はまったく悪気もなく行う。しかも、撮り鉄が畑を踏み荒らしたり、植えられた草花の上に三脚を立てたりすると、「鉄道会社に苦情が来る。やってられません」(A氏)。

「珍しい列車が運行されるとき、改札にいると、“〇〇の回送は何時にどこに来ますか?”と聞いてくる鉄道ファンがいる。ホームで撮影するつもりなのかもしれませんが、そもそも駅員は営業列車以外は把握してないことが多いんです。それなのに、答えられないと罵声を浴びせてくることも。なんで撮影のために我々が付き合わないといけないのでしょうか」

 乗務員、特に女性の駅員を盗撮する鉄道ファンは、撮り鉄に限らず多い。女性車掌のB氏は、一眼レフカメラを持った撮り鉄から、何度も盗撮に遭ったと聞く。望遠レンズを覗いているふりをして、駅員や、女子高生を盗撮する人物までいるという。もはや無法地帯だ。

「乗務員のことはフリー素材だと思っているのか、とにかくバシャバシャと撮られますね。特に高齢の鉄道ファンの方が、リテラシーが無いのか、フラッシュをたいて撮影することが多い気がします。最近の若い子は、ネットに上げる時点で乗務員の顔をぼかしたり、隠したりしてくれることが多いのでまだマシですが……」(B氏)

 駅員の写真を無断で撮影し、後日、わざわざ丁寧に渡してくれる撮り鉄もいるそうだが、「撮られていい気分の乗務員は99.9%いないことはわかって欲しい」と、B氏は苦言を呈する。当たり前なのだが、その当たり前が通用しない人が少なくないようだ。

 撮り鉄がホームの黄色い線から身を乗り出して撮影するのは日常茶飯事だが、関係者以外立ち入り禁止の区域にまで入ろうとする撮り鉄も多いという。特に、一眼レフカメラが安価で手に入りやすくなった影響なのか、子どもの撮り鉄も増えており、やはり問題行動を起こす例が後を絶たないとのことだ。

沿線で撮影する撮り鉄はマナーを守って

 運転士を務めたこともあるC氏は、「500億歩譲って、ホームで撮影する撮り鉄は、少なくとも入場券は買ってくれているので、まあ……いいか……と思うけれど。列車を利用せずに沿線で撮影している連中は、犯罪に抵触している可能性があるうえ、運転の邪魔になるような迷惑行為が多すぎる」と、撮り鉄に怒り心頭の様子だ。

「フラッシュをたきまくるのは論外ですし、線路わきギリギリの場所に三脚を立てて撮影したり、踏切が鳴り出しても一向にどかずにカメラのファインダーを覗き込む撮り鉄がいる。命が惜しくないのでしょうか……。なにより、こういった撮り鉄が線路に飛び出してくるんじゃないかと、ハラハラしながら運転しているんです」

 C氏は、大きめの草刈りばさみを持った撮り鉄が、線路脇の草藪の中からいきなり出てきた時には「チビるかと思った」という。

「そこは絶対に私有地だし、無許可で入って、撮影のために草でも刈り取ったんじゃないか。列車の写真を撮るためにそこまでするのか、と唖然としました」

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