「ステージ4の下咽頭がん」診断後にさらなる衝撃 「大腸が光った」と指摘された見栄晴「まさか」

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利尿剤が「本当につらかった」

 抗がん剤治療では事前に、吐き気止め、生理食塩水、利尿剤などを点滴で入れるんです。抗がん剤というと、吐き気などのイメージが強いですが、ここ何年、医療がすごい進歩していて、事前に薬で抑えられるようです。

 抗がん剤そのものは、点滴で1時間から1時間半ほど投与するだけ。その後は、とにかく水分を取って、おしっこを出すんです。毎回、おしっこの量を量って記録し、入院中は常に水分補給と排泄を繰り返しました。尿を出すために利尿剤を入れるんですが、これが本当につらかったですね。

 利尿剤は入れると、3~5分おきに尿意がくるので、頻繁にトイレに行くことになるんです。水をたくさん飲んで、「最低、1日2リットルの尿を出してほしい。3リットル出したらたいしたもの」と言われました。頑張って、おしっこをしていたら、看護師さんから「僕が見た中ではすごいほうです。7リットル出ています。頑張りましたね」とほめられました。先生も「藤本さんはいい腎臓を持っています。これだけ、おしっこを出せるんですから」と励ましてくれました。

 最初の抗がん剤を投与してから、1週間後に副作用が出始めました。味覚がなくなったんです。退院した翌日に家族で寿司を食べに行きましたが、まぐろを食べても、しょうゆの味がしなかった。何を食べても味がなく、ただ、かんでいるだけなんです。アナゴはかすかに味がしました。

 寿司屋に行った後、娘がサーティワンのアイスを買ってきてくれたんですが、その時は味がしました。ストロベリー味。どうやら、甘味だけは残っていたようです。味がすることは、うれしかったですね。先生からは「食べられるものはハイカロリーでもいいので、食べてください」と言われて、デザートもよく食べました。

 放射線治療では、 口内炎ができて、口の中が痛くなるそうなんですが、僕の場合、それがありませんでした。先生もビックリしていて、「何をしていたのか、今後の患者さんのためにも教えてください」と言われるほどでした。

日本の医学を信じて前向きに

 幸い、約2カ月の治療を経て、「経過観察」となりました。先生曰く、私のケースは特異な例のようで、こんなに早く回復できるのはまれだそうです。手術をしたわけではないので、体には傷が残っていません。ただ、まだ首が腫れたり、毛が抜けたりする後遺症が残っています。

 先生たちは僕が治っていくごとに笑顔になってくれました。だんだん、僕が元気になっていくことに喜びを表してくれたんです。

 皆さんは「ステージ4」と聞いて死を連想するかもしれませんが、私自身はそうは思いませんでした。再発の恐怖はありますが、先生に任せておけば大丈夫だという安心感があったんです。病院に行って、先生に会うと安心します。辛くなかったですよ、放射線治療も。日本の医学を信じて、これからも前向きに頑張ろうと思っています。

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 第1回では、見栄晴ががんを告知された時のことを詳細に語っている。

見栄晴
1966年、東京都生まれ。15歳の時、テレビ番組「欽ちゃんのどこまでやるの!?」で人気に。1998年から、CS放送「競馬予想TV!」でMCを務める。

デイリー新潮編集部

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