「身代金報道」でKADOKAWAグループ内が疑心暗鬼に…“株価暴落”、“元会長の裁判”まで重なって頭を抱える社員の胸中

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ドワンゴ派とカドカワ派

 実際にハッカーとの交渉を担当しているのは、ドワンゴの取締役COOでニコニコ代表を務める栗田穣崇氏とされている。

「誰が情報をリークしたのか、もちろん確かなことは分かりません。ただ、ドワンゴ社内にはKADOKAWAとの合併前のドワンゴを知る“ドワンゴ派”と、KADOKAWAをルーツに持つ“カドカワ派”という、ゆるやかな派閥が存在します。役員内で今回の対応に関する意見の相違があったのでは、と推測する社員もいるようです」(A氏)

 ドワンゴがKADOKAWAと合併した当時、ドワンゴの社長を務めていたのは、現KADOKAWA取締役の川上量生氏だ。

「合併当時は時価総額でドワンゴがKADOKAWAを上回っていたこともあり、“対等な立場での合併”と捉えられていましたが、今のドワンゴは事実上、KADOKAWAの子会社という立ち位置です。川上さんはKADOKAWAのゲームアプリ事業で大きな赤字を生み、それもパワーバランスに変化が生じた一因だと聞いたことがあります」(A氏)

元会長・角川歴彦氏が、国に損害賠償を求める裁判

 NewsPicksの報道は、KADOKAWAグループの株価暴落にも拍車をかけることとなった。6月21日の終値で2987円だった株価は、翌22日の報道を受け、週明け月曜日の24日にさらに下落。一時2643円まで暴落した。

「KADOKAWAには給料の一部を株式で受け取る社員持ち株制度があります。ただ、インサイダー取引等を防ぐ目的で、ストックオプションで得た株は売却禁止期間が設定されています。社員持ち株制度を利用している社員は資産の面でもダメージを受けているわけですが、今はただ下がり続ける株価を見つめることしかできません」(A氏)

 報道の影響は他にもある。

「苦難のただ中にあるKADOKAWAを支援しようと、スポンサーが応援する動きもあったそうなのですが、それもNewsPicksの報道の影響で白紙になってしまったとか」(A氏)

 東京オリンピックのスポンサー契約を巡る一連の汚職事件で、関係者が有罪判決を受けているKADOKAWAグループ。今回の一件で再びスポンサーが同社のコーポレートガバナンスに不安を抱くことになれば、さらに広告収入に影響が出る懸念もあると言うのだ。

 そのような折、27日には汚職事件で東京地検特捜部に逮捕・起訴された元会長の角川歴彦氏が、国に損害賠償を求める裁判を起こしたと報じられた。元会長にも言い分はあるのだろうが、社内には白けたムードも漂っているという。

「なんでまた、この会社の大変な時に…と感じている社員は私だけではないでしょう。今はまず一刻も早い復旧と事業の立て直しに集中して欲しい、というのが偽らざる本音です」(A氏)

デイリー新潮編集部

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