佐々木朗希は今オフ、ポスティングを強行しても満足な交渉ができる状況にない…体力問題だけではないFA市場の事情
勝負の5年目に…
もっとも、球団関係者の話を総合すると、登録抹消された1回目と2回目の時も、佐々木は「投げられます」と反論していたそうだ。それでも、吉井監督や小野コーチたちは「投げさせるべきではない」と判断したわけだが、変わらないのが佐々木のメジャーリーグへの挑戦意欲だ。
「今オフにもポスティングシステムを使って」――球団は正式に認めていないが、佐々木の挑戦は“既定路線”のように捉えられている。
「佐々木は今年の11月で23歳。現行ルールでは25歳以下はマイナー契約しか結べません。大谷翔平のように、NPBで5年のキャリアを積み23歳で挑戦。米国で実績を積んでから大型契約を結ぶつもりなのでしょう。しかし、吉井監督は親しい知人に、『選手が本格化するのは5年目から』と語っています。プロ選手として一人前に成長する最初のステップということでしょう。佐々木はまさに5年目。本人は今年の目標として1年間、ローテーションを守ることを挙げていましたが、すでに2回外れています」(前出・スポーツ紙記者)
今年3月、「佐々木朗希は24年オフにドジャース入りが内定している」との米紙報道があったが、6月になってMLB公式サイトなどで各球団の「インターナショナル・サイニング・ボーナス・プール」の金額が明かされた。
「インターナショナル・サイニング・ボーナス・プール」とは、メジャーリーグのドラフト指名対象外となるドミニカ共和国、ベネズエラ、メキシコ、日本、韓国、台湾などに在住する16歳以上のアマチュア選手を獲得する際に使う資金のこと。上限額が定められており、MLBドラフトの状況などを見てその年に使える金額が決められるのだが、全額を使わなくてもかまわない。残金は翌年以降に繰り越すこともできる。その残高トップが315万2500ドル(約4億9600万円)のドジャースだったのだ。
「2位はパドレスの220万ドル(約3億4600万円)です。ドジャースがダントツに多いんです。ドジャースよりも高い獲得資金を出せる球団はありません」(米国人ライター)
メジャーリーグで成功したいのであれば、複数の球団から話を聞いたほうが良いと言われる。金銭面以外のチームの雰囲気やグラウンド外のサポート面はもちろんだが、そのチームが優勝を狙う時期にあるのか、それとも、世代交代の過程にあるかで、自身に与えられる責務も変わってくる。そのためには長い時間を掛けてしっかりと交渉すべきだが、仮に佐々木が今オフにメジャー移籍を画策したとしても、交渉にしっかり時間を避けるかどうか微妙になってきた。
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