株式投資のプロが全世界株式「オルカン」を“解約”した納得の理由 未来を見据えた「積み立て投資」の最適解とは

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投資家にとっては素晴らしい時代に

 新NISAの世界では昼夜、「オルカンが良いのか、S&P500が良いのか」という議論がさかんに行われています。

 “オルカン”とは、今日本で大人気になっている投資信託の愛称です。正確に説明すると、「MSCIオールカントリー指数」と呼ばれる世界中の株価指数に投資できる商品です。

 MSCIオールカントリー指数は、世界の先進国23カ国に加え、新興国24カ国の株式市場全体の動きに連動する株価指数です。

 一方の“S&P500”とは、アメリカを代表する500社のグローバル企業の株価に連動する株価指数に投資できる商品です。

 近年、株取引がインターネットで簡単にできるようになり、こうした株価指数に連動する投資信託への投資も手軽にできるようになりました。

 私が社会人になったのは1987年です。当時、NYダウは毎日のように株価が上がり、日本の証券会社の店頭では、「あのNYダウとかいうやつを買いたいのだが」と問い合わせるお客さんがいた、という有名なジョークがありました。

 なぜこれが冗談になるのかというと、当時はNYダウに連動するような金融商品は存在せず、実際にNYダウ指数に採用されている30銘柄をそのまま買うしかなかったからです。

 それが今では、スマホを操作するだけで簡単に買えるようになりました。しかもNYダウのみならず、S&P500やオルカンなど、様々な指数に連動する投資信託に誰でも一口100円から投資できるわけです。投資家にとっては素晴らしい時代になりました。

バックミラーに映る風景に投資するようなもの

 先に白状すると、私自身は「S&P500派」です。私は昨年10月、これまで投資をしてきたオルカンを「解約しました」という動画をYouTubeに上げました。その動画は約40万回も視聴され、改めて“オルカン”というキーワードへの関心の高さに驚きました。

 世の中には株式投資について語るのみの専門家も多くいます。私は米国株投資を解説するのと同時に、ここ数年間、実際に自己資金でいくつかの投資信託に積み立て投資を行い、そのパフォーマンスを毎月YouTubeで解説してきました。

 その中で「オルカンをやめた」と報告した動画が物議を醸すこととなったのです。 では、なぜ、私がオルカンの投資をやめたかの説明をします。

 誤解のないよう申し上げておきますと、オルカンは、世界47カ国のおよそ2800銘柄という非常によく分散された、投資初心者の資金運用の「最初の一歩」として、ケチのつけようのない素晴らしい金融商品だと思っています。

 ただ私は、他の投資信託の組み合わせにより、「オルカンより高いリターンを得ることが可能なのでは」と考えたのです。

「MSCIオールカントリー指数」が投資する国の配分は、「これまで世界で起きた結果」であり、バックミラーに映る風景に投資するようなものなのではないか。私にはそう思えるためです。

 そこで私は、「株式投資は将来起きることを織り込みにいく」という原点に立ち戻って、今後長期にわたって、より高いリターンが得られそうな国や業種の配分を再考しました。

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