隠ぺいか凡ミスか 鹿児島県警トップが警察庁の特別監察に語った内容とは

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人事での不満

「その一方で、野川本部長の意向がいわゆる『伝言ゲーム』のようになり、枕崎署に正確に伝えられなかったこともあって、『捜査中止』と認識していたというのが現在の県警の見解です」(同)

 その後にこの「捜査中止」という認識は改められたが、「野川本部長が現職警官の犯罪を隠ぺいした可能性がある」との情報は県警本部内を駆け巡ることになる。

「もともと本田元部長は刑事部長を目指していたのですが、争っていた同期がその座に就くことになりました。要するに刑事部長レースに負けたことで、県警に対する疑心暗鬼が膨れ上がっていったのではないかと見られています。巡査部長の盗撮事件について本部長が即座に反応しなかったことについて、本田元部長としては“野川本部長が刑事部長側に付いて判断した”とみなした可能性があります。そのあたりの事情については、特別監察に対して野川本部長が先ほどの伝言ゲーム云々の事情を含めて説明したようです。が、そもそも証拠に乏しいとはいえ任意で呼ぶなど方策はいくらでもあったのではないかといった本部長に対する疑問の声が県警内から出ていますね」(同)

鹿児島の特殊性

 仮に「伝言ゲーム」だとして、人の生命や人生を左右する権力を持つ警察で、その種の凡ミスがあって良いはずもない。こんな事態を招いたことそのものが問題なのでは――。

「当然、野川本部長の力量を疑問視する声もありますね。基本的にはあまり目立たないタイプで、もちろん警察庁長官・警視総監候補になるようなレベルではなかったとのことです。鹿児島は奄美地方で『保徳戦争』と呼ばれる選挙においてエリアを二分するような争いを抱えていた県であり、全体としても利害の対立が大きいため実力のあるキャリア官僚を派遣すべきだとの指摘があったようです」(同)

 その意味で、野川本部長はやや力不足だったと指摘する警察庁の人間もいるとのことだ。

「警察庁の露木康浩長官は一度も道府県本部長を経験せずに警察トップに上り詰めました。ある意味で地方軽視と見なさられるそういった人事の背景には、警察庁長官経験者で現在、官房副長官を務める立場で警察の人事も握る栗生俊一氏の考え方が反映されていると言われています」(同)

 今回の事件は、地方の警察内で起こった不祥事だということで片付けられるほど簡単ではなく、より深い問題を抱えているのかもしれない。

デイリー新潮編集部

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