1時間1万5千円の「相撲部屋・朝稽古見学ツアー」にインバウンド客が殺到「特需を逃すな」と続々参入する親方たち

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「インバウン丼」をほとんどの日本人は高いと思うだろうが、この観光ツアーはどう感じるか。値段は1時間1万~1万5000円。両国界隈の相撲部屋で毎朝行われている「朝稽古」を見学するツアーである。日本人にはあまり知られていないが、いま外国人観光客の間で相撲部屋は人気の観光スポットになっているのだ。

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「本物のスモウ・レスラーの練習が見学できる」英文サイトで勧誘

 6月下旬の朝7時過ぎ。JR両国駅の改札口に立つ日本人男性の元に、続々と外国人が集まってきた。カップル、子供連れの家族、男性3人組…。みなラフな格好をした観光客である。最終的に集まったのは14名。

 定刻になると、日本人男性を先頭にぞろぞろと動き出し、すぐ脇に聳える両国国技館の脇道を通り抜けて下町を歩いていく。

 やがて一行は3階建ての建物に吸い込まれていった。入り口にかけられた看板には「八角部屋」。日本相撲協会理事長の八角親方の部屋だ。

 彼らはここでこれから行われる朝稽古を見学するのである。

「相撲部屋が点在している両国エリアの各駅には、毎朝、朝稽古目当ての外国人が十数人集まっています。外国人ツアー客を受け入れる部屋は数年前からチラホラありましたが、ここ最近のインバウンドブームで一気に広がりました。今では10部屋以上が受け入れています」(ツアー会社関係者)

 ネットを探すと参加者を募るツアー会社の英文サイトがいくつも見つかった。

〈Tokyo Sumo Morning Practice Tour in Ryogoku〉(東京相撲朝稽古ツアー・両国)

〈Watch Real Sumo Wrestlers Train〉(本物のスモウ・レスラーの練習が見学できる)

ちゃんこ付きプランも

 各ツアーは最大20人くらいまで。英語ができるガイド付きで、稽古場に設けられた座敷に座って1時間くらい見学する。最後に記念写真タイムもある。

 ツアー客を受け入れる部屋が増えているのは、ビジネスとしてうまみがあるからだ。客が払う料金は1万円程度。ちゃんこ料理付きになると1万5000円に上がる。売り上げは基本的にツアー業者と折半だという。

「集客は業者が全部やってくれるので、部屋は稽古を見せるだけ。元々、朝稽古を地元民に無料で公開していた部屋にとっては、客を外国人に変えただけで1日数万円から多い時で10万円が副収入として入ってくる事になる。『稽古は見せ物じゃない』とつっけんどんだった堅物の親方も話を聞くと目の色を変えますよ」(同)

 角界関係者もこう語る。

「先代から借金をして部屋を引き継ぐなどして懐事情が苦しい部屋も多い。みんなインバウンド特需だとありがたがっていますよ。日本の国技を外国人に広めるのは全く悪いことではありませんしね」

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