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進む日本ドラマのガラパゴス化

「ドラマなんだから」という言葉を目にする機会が以前より増えた気がする。その言葉が免罪符になり、法律や常識からの逸脱が許されてしまう。これでは日本のドラマのガラパゴス化が進むばかりなのではないか。

9:カンテレ・フジテレビ「アンメット ある脳外科医の日記」(6月10日放送の第10回)
3.5%。第1回より+0.3%/コアは1.5%で10位。同-0.2%

10:TBS「くるり~誰が私と恋をした?~」(同18日)
3.3%。同-0.1%/コアは2.0で4位。同+0.5%

11:フジテレビ「イップス」(同21日)
2.7%。同-0.6%/コアは1.4%で12位。同-0.4%

12:フジテレビ「Re:リベンジ-欲望の果てに-」(同20日)
2.2%。同-1.4%/コアは1.1%で13位。同-1.3%

13:テレビ朝日「ミス・ターゲット」(同16日)
1.9%。同±0/コアは1.0%で14位。同+0.1%

「アンメット」はキャスティングから映像処理、音楽まで抜群のセンスを感じさせた。主人公の川内ミヤビ(杉咲花)や同僚で婚約者.三瓶友治(若葉竜也)ら医師役から、アイドル臭を排したのが功を奏し、現実味が生まれた。

「Re:リベンジ」は独特の暗さに味があった。いつの間にか明るいドラマばかりになってしまったので、存在感を示した。選択肢は多いほうがいい。

「ミス・ターゲット」は大苦戦が続いてきた放送枠だが、浮上の兆しが見えてきた。

14:テレビ東京「ダブルチート 偽りの警官」(6月14日)
1.9%。第1回より-1.4%/コアは0.3%で16位。同-0.6%

15:日本テレビ「ACMA:GAME アクマゲーム」(同9日)
1.7%。同-1.7% /コアは1.9%で7位。同-1.1%

16:日本テレビ「街並み照らすヤツら」(同22日の第9回)
1.3%。同-1.7%。コアは0.8%で15位。同-1.0%

難しいターゲットの固定化

「ダブルチート」は向井理(42)が扮する警官が、詐欺師たちを懲らしめる。完成度は高いものの、午後8時台にドラマを放送する難しさ、放送枠の認知度の乏しさが低視聴率の背景にあるのだろう。

「アクマゲーム」は視聴者ターゲットを若者に絞り過ぎた気がする。10月に若者向けの映画として公開することが事前に決まっていたためか。

 同じ放送枠の「ブラッシュアップライフ」(2023年)はほどほどに若者を狙い、その緩さが結果として良く、人気が全世代に広がった。ターゲットを固定化するのは難しい。

「街並み照らすヤツら」は急きょ制作された。別作品が予定されていたが、「セクシー田中さん」を巡る一連の問題に関連して、制作中止となったからだ。

 なんとか間に合わせた苦労は分かるものの、やはり急ごしらえにありがちな難点が目に付く。なによりナレーションが多すぎる。脚本を練り上げる時間がなく、セリフや情景でシーンを表せなかったからではないか。

 そうこうしているうち、夏ドラマが始まる。爆発的大ヒット作は生まれるのだろうか。

高堀冬彦(たかほり.ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部

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