春ドラマ16本「ランキング」 賛否両論あった木村拓哉「Believe」で視聴率がガクンと落ちた世代とは
野心作だった「アンチヒーロー」
「アンチヒーロー」は質が高く、視聴率も良かった。視聴率が爆発的な伸びを見せなかったものの、それはストーリー上、やむを得ない。主人公でヤメ検の弁護士・明墨正樹(長谷川博己)が、善か悪かが終盤まで判然としなかったからだ。
大衆に広く受け入れられる作風は昔も今も勧善懲悪。ただし、それではこのドラマの大前提が崩れてしまう。類似作品が見当たらない野心作という点でも評価に値する作品だった。
「花咲舞が黙ってない」は対照的に典型的な勧善懲悪だった。2014年と15年に杏(38)と上川隆也(59)のコンビでヒットしたが、今回も今田美桜(27)と山本耕史(47)によって成功を収めた。コアがやや振るわなかったのは、サラリーマン社会独特の悲哀や薄暗さが全編に漂い、若い世代にはピンと来なかったのだろう。
4:テレビ朝日「Destiny」(6月4日)
4.7%。第1回より-0.3%/コアは1.9%で7位。同+0.2%
5:テレビ朝日「特捜9」(同5日)
4.4%。同-1.1%/コアは1.5%で10位。同-0.3%
6:フジテレビ「366日」(6月17日)
3.8%。同-0.3%/コアは2.0%で4 位。同+0.7%
7:フジテレビ「ブルーモーメント」(6月19日放送の第9回)
3.7%。同-1.1%/コアは1.6%で9位。同1.3%
8:TBS「9ボーダー」(6月21日)
3.6%。同±0/コアは2.6%で2位。同+0.4%
「Destiny」は首を捻る場面がいくつかあった。その1つは主人公で検事の西村奏(石原さとみ)が、容疑者段階の元恋人・野木真樹(亀梨和也)を無断で連れ回した場面。懲戒解雇に値する行為である。
ドラマには最低限、守るべき約束事があったはずだが、最近はどうしたのだろう。欧米ドラマは第一に現実味を重視し、そのうえで予想を裏切る展開を用意する。
「9ボーダー」もそう。主人公・大庭七苗(川口春奈)は記憶喪失中の青年・芝田悠斗(松下洸平)と恋に落ちる。その後、芝田は記憶が戻るが、婚約者・酒井百合子(大政絢)と別離し、七苗の元に戻る。
記憶喪失中の芝田は自分の名前すら分からず、責任能力がなかった。そんなときに重大な決定をさせないのは大人社会の常識である。記憶喪失は病気なのだから。しかし、七苗は進んで交際を選択した。結果論だが、それが芝田と百合子の別離も招いた。
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