「保険証を廃止すれば事故は増える」 マイナ保険証で死亡トラブルが…河野大臣は厚労省に責任転嫁

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責任転嫁は無責任

 大阪府保険医協会の井上美佐副理事長が言う。

「河野大臣は会見で(死亡事例について)“厚労省にお尋ねいただきたい”と述べておられますが、デジタル庁がマイナ保険証を推進している以上、その過程で起きた事故を厚労省に責任転嫁するのはあまりにも無責任です。デジタル庁が所管外なのであれば、なぜ河野氏は保険証の廃止を推進しているのでしょうか」

 そしてこう指摘する。

「『マイナポータル』の利用規約には免責事項として“利用者本人又は第三者が被った損害について、デジタル庁の故意又は重過失によるものである場合を除き、デジタル庁は責任を負わないものとします”とする条項があります。デジタル庁は常に、自分たちに責任が及ばないように振る舞ってきたのです」

 さらに続けて、

「現状ではマイナカードの取得は国民の義務ではありませんが、デジタル庁は12月にマイナ保険証を事実上義務化します。そのマイナ保険証は厚労省、総務省、デジタル庁の3省庁が協力して進めている事業。その問題について、どこも責任を取らずにここまできたのは、制度上の欠陥では」

「保険証を廃止すれば、事故がより増える」

 先の横田氏が言う。

「窓口でマイナ保険証の読み取りがうまくいかなかった患者が大声で怒鳴り、警察沙汰になった事例もありました。患者が読み取りに手間取り、行列になれば、なかには診察を受けずに帰ってしまう人もいるかもしれない。結果、今回のように死亡事例につながる可能性も十分にある。半年後に保険証を廃止すれば、事故がより増えるのは火を見るよりも明らかです」

 河野大臣の聞く耳を持たぬ、その鉄面皮には国民もいい加減、へきえきしている。

週刊新潮 2024年6月27日号掲載

ワイド特集「風待月の突風」より

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