【異常事態】都知事選ポスターに常識や良識の欠片もない人が次々登場するのはなぜか 専門家は「ネットの影響大。β版ビジネスのせい」

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鳥取県の平井知事も批判

 何かをやりたいが、何をやっていいのか分からない。すると一部の人々は「とにかく都知事選を引っかき回せばいいのだろう」と考えるという。

「選挙を引っかき回すといっても、やっていることは迷惑系YouTuberと同じです。多くの人は眉をひそめるわけですが、ごく少数とはいえ、こうした“迷惑系ポスター”を評価する人もいます。『都知事選の関心を高めたのだから許容される』とか『ポスター掲示板の問題をクローズアップした』と擁護するわけです。そうした声で『自分たちは正しいことをやっている』と自信を持ったり、いわゆる承認欲求を満たしたりしているのでしょう」(同・井上氏)

 馬鹿につける薬はない──この諺の正しさを再認識するしかなさそうだ。厳罰を求める声も出ており、鳥取県の平井伸治知事は6月24日、県議会の一般質問の答弁でこの問題に触れ、「選挙活動とは言えず、やめさせないといけない」と東京都の選挙管理委員会を批判。「公選法を守ろうとするばかりに民主政治を壊しかけている。たとえ訴訟になったとしても行動しなければならない」との考えを示した。

「集合知の研究によると、馬鹿な人々の言説が目立つと、バランスを取るために社会では正論が増えることが分かっています。今、公職選挙法の改正を求める意見が多数、ネット上に投稿されていますが、当然の動きでしょう。時代遅れの法律であることが露呈してしまいました。ただし、冷静な議論が必要です。問題だらけのポスターが貼られた掲示板を見ると、どうしても厳罰化を求めたくなります。しかし“ゆるゆる”な状態こそ健全な民主主義のバロメーターです。監視を強化しすぎてしまい、日本が北朝鮮やロシアのようになっては元も子もありません。建設的な議論が求められているとも言えます」(同・井上氏)

デイリー新潮編集部

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