【異常事態】都知事選ポスターに常識や良識の欠片もない人が次々登場するのはなぜか 専門家は「ネットの影響大。β版ビジネスのせい」

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β版ビジネスの影響

 都知事選の立候補者でジョーカー議員こと河合悠祐氏は一部のポスターに、レースクイーンなどを務めた桜井MIU氏の露出度が非常に高い写真を掲載、抗議や非難が殺到する事態になった。

「ポスターには『表現の自由への規制はやめろ』などと記載されていました。桜井氏は当初、Xのアカウントに自身がポスターを貼る様子を動画で公開していました。当然ながら警視庁は6月20日、都迷惑防止条例違反の疑いで河合氏を警告。ポスターは撤去されることになり、桜井氏はSNSで謝罪しました」(同・記者)

 他にも多数のポスターが問題を引き起こしたのだが、紙幅の関係から割愛させていただく。なぜ、これほど非常識な人々が続々と登場しているのか、タレントのモト冬樹氏は6月22日にブログを更新し、《確かに法的には違反ではないにしろいまの日本には一般常識というものが存在しないのか?》と疑問を呈し、多くの読者が同意を示した。

 ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「今回のポスター騒動は、ネットの動きに大きな影響を受けていると思います。具体的には“β(ベータ)版サービス”や“β版ビジネス”との関係を指摘できるのではないでしょうか」と指摘する。

怒られたら撤去

「β版ビジネスはソフトウェアやアプリを開発する際、見切り発車で未完成版を発表し、不具合などの指摘や苦情を参考に改良を加え、最終的な完成を目指すという手法です。開発コストが大きく下がることもあり、GoogleやMETAといった世界的IT企業も採用しています。このβ版ビジネスが問題を引き起こすこともあり、その代表例がGoogleマップのコメント機能と、なりすまし広告です。いずれも、とりあえずサービスを提供し、誹謗中傷のコメントが掲載されたり、著名人を偽って投資を呼びかけられ、詐欺の被害者が出たりすると、はじめて対応策を検討するわけです」(同・井上氏)

 都知事選で問題だらけのポスターを掲示する人々も、β版ビジネスと同じ発想が垣間見える。とりあえずポスターを貼り、有権者から怒られたら撤去するわけだ。

「さすがに『自分たちのポスターが批判されるかもしれない』と事前に分かっていたとは思います。また政治の現状にも不満を持っているのでしょう。例えば永田町が“プロの政治家”で支配されていることに憤りは感じているわけです。とはいえ自分たちに希望を与えてくれる“ヒーロー”はいない。ならば自分たちが立ちあがるべきだと考え、β版ビジネスのように『とりあえずやってみる』ことが必要だと判断しても、具体的に何をしたらいいのかは分からないわけです」(同・井上氏)

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